赤井さんが好きすぎてストーカーするけれど、生活力高すぎるストーカーに赤井さんが慣れていくお話








疲れ切った体を引きずりながら入った自室。
1週間ぶりのその部屋は本当であれば、ほこりっぽく、シンクに残したままであろう皿はそのままで。
部屋中に転がった酒の瓶が散乱している___はずだというのに。

「・・・・・・どういうことだ」

玄関を入ったときから違和感を感じては、いた。
棚に指を滑らせても埃などみつからず。
シンクは角の三角コーナーですらきれいに掃除されている。
部屋中にあったはずの瓶は一つにまとめられて。
棚の中空になっていたはずのお酒はいつの間にか新しいものが入っていて。

ぐるり、みわたした世界の中、そのにあるのは”自分の知らない自分の部屋”で。

ゆっくりと洗面所に向かえばそこにあったはずの洗濯物はきれいになくなり。
クローゼットの中に納められていて。

「ふむ」

つぶやいた声。
それは拾われることなく地面に落ちたけれど。
この部屋に自分以外の誰か、が進入したことだけは確かで。

と、台所に酒を入れるためだけにおいている大きな冷蔵庫に張られている紙に、気がつく。

”がんばる赤井さんはとてもすてきだと思います。でも、すこしぐらい休んでくださいね”
”今日は炊き込みご飯とお浸し、肉じゃがを作ってみました。お口に合うといいのですが・・・・・・”

手にとって眺めてみるとそんな二つの文章が。
きれいな配置で、読みやすい文字でかかれていて。

”今日は”という単語からわかるのは、これが何日も繰り返されていること・
俺の名前を知っている、ということで

ぱかり、開けた冷蔵庫の中。
自分で料理をしないため、食材など中に入っていることなどなかったというのに。
非常においしそうな料理が、そこにはあった。

本来であれば___自分の仕事の立場上、突き詰めなくてはいけないこと、確認しなければならないこと、などたくさんあるというのに。

先日ばれて逃げ出した組織関連の出来事かもしれないのに。


___まあ、いいか___

___疲れている頭では思考することすら面倒で。

仕掛けられているであろう室内の盗聴器だけ___後で取っておくことを決めて。

冷蔵庫の中にしまわれているご飯を取りだして、肉じゃがを口に運んだ。

「もう少し、味が濃い方が好みだな」

ぽつりつぶやいただっけだというのに、次の日、味が直された肉じゃがでてきたことはいうまでもない。