ドリーム小説

誰か私の名前を呼んで 2









「桜だ。しばらくはなせないけど、ま、気にするな」

結局違うという言葉は伝わらず、筆談するにもこの世界の文字はわからなさすぎて。
妹の名前で、私は彼の仲間に紹介された。
違う、という言葉は、もう何度つぶやいたかわからない。
私は彼の彼女なんかじゃないのに、彼はそれを疑うこともなく。
彼の仲間もあっさりとそれを受け入れて。


「ねえ、桜ちゃん。本当にそれは君の名前?」

気がついてくれたのは、おじさまだけ。
飄々としているのに、視線は鋭く、私を常に疑いの瞳でみていた。
首を振った私にふわりと笑って、本当の名前はなあに?と聞いてくれて。

、ちゃん?」

口を動かして告げた名前。
それをしっかりと彼は受け取ってくれて。

「そう、ちゃんね。改めてよろしく」

柔らかな笑みで、私を鋭く監視しながら、それでも、私にとってこの人がこの世界でなによりも愛しく思えた。















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