ドリーム小説
誰か私の名前を呼んで 3
「桜」
久しぶりに泊まれた宿屋。
ガルドが結構たまってきたので少し贅沢をしようと独り一部屋ずつとって。
そして、当然とばかりにユーリさんは深夜私の部屋に忍んできて。
ぎしり、音を立てたベッド。
私の上に多い被さるユーリさん。
紡がれる、妹の名前。
ちがう、ちがうよ
相変わらず言葉は発せられなくて。
あなたが望むのは私じゃない
あなたが求めるのは私じゃない
でも、伝わらない
頬を流れた涙を困ったように拭ってユーリさんは笑う。
「桜、おまえ変わったな」
私はなにも変わってなんかいないのに。
あなたは、私のなにも、知らないのに。
「せいねーん!!」
ばたん、大きな音を立てて開かれた扉。
そこにはにっこにこと笑うレイヴンさんのすがたがあって。
「あれ?おじゃましちゃった?」
どうみてもわざとらしいそれではあったけれど、ため息をつきながらユーリはベッドから降りてくれて。
レイヴンさんもこちらへと近づいてきて。
「ほら、桜ちゃん泣いてるじゃない。青年、あんまりがっつくと振られちゃうわよ〜」
「うるせえよ。おっさんもさっさと外にでろ」
レイヴンさんを引っ張って、ユーリさんは部屋の扉へと向かう。
「ごめんな、桜」
小さく笑って、彼は部屋を出ていった。
だから、ちがうのに
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