ドリーム小説
いつだって、どんなときだって。
私にとってあなたは友人で。
どんな立場だって、どんな状況だって。
私だけはずっと味方で。
世界中のすべてがあなたの敵になったとしても、私だけは最後までそばにいる。
それが、私に居場所と名前をくれた、大事なあなたへ返せるもの。
知っている世界、進んでいくすじがき。
それは、もちろん私がいたところで変わらないまま。
彼は追いつめられて、逃げ出して、それでも、またこの場所に戻ってきた。
手放そうとしたものを、寸前で握りしめて、もう離しはしないと、苦く笑った。
大事なものを、その両手で足りるほどの数の宝物を守るために、まっすぐと前を向いた。
彼を導くのは足の不自由な尚書省。
あのときの王が最後まで離れることを許しながらも、心の底から望んだ相手。
彼はようやっと、王の手に、劉輝のもとに、戻ってきた、はずだったのに____
どうして、どうして
これ以上の最良をしらないから、と。
知っていた未来を何一つ変えることなく見守ったこの世界で。
私が唯一、手を出そうとおもった相手。
仕方がない、と諦めることがうまくなった友が、たった一人手放すことを許さなかったその人。
その穏やかな顔は青白く、静かに棺の中にある。
優しく王をたしなめることも、
瞳をすがめて王を見守ることも
まっすぐに王の敵と向き合うことも
私の友である劉輝に笑いかけることも、ない。
いろんな薬を探し出しても、彼は笑って受け取ることはせず。
凛と一緒に縛り付けるように寝台に横たわらせても、常に思考は前を向いていて。
穏やかで、頑固な人だった。
凛と、子供と。
初めて自分の所有物ができたのだと、困ったように笑ったあの人の顔は、いつだってよみがえる。
自分がいなくてはいきられない、そんな存在が信じられないように。
そう思えるようになった自分こそを信じられないとばかりに。
悠舜が、欲しかったもの。
彼にも、わからなかったそれに答えを与えたのは、劉輝だった。
主と決めた人には、盲目的なまでに尽くす彼ら一族は、
そのたびに傷つけられ、疑心の目を向けられて。
だからこそ、劉輝は、悠舜にとって、初めての宝物。
離れてもいいといいながら、袖を離すことをためらった彼を。
最後の時までそばから離れることを許さなかった彼を。
なにがあっても、どんなときでも、自分を信じてくれる存在を。
悠舜はそんな主を求めていて。
劉輝はそんな悠舜に自らを与えた。
疑われることなく、信じられ続けることの心地よさを、彼は始めて手に入れて。
笑っていたのだ、この人は。
ようやっと手に入れたかったものが、手に入ったと。
その言葉だけで、十分なのだと。
そういって、彼は、悠舜は
王に骸骨を乞うた。
亡骸に、王はただただ泣きわめく。
心の底から、くるしいと悲しいと、寂しいと、つらい、と訴えるように
そんなに泣いたら、劉輝、あなたの目が溶けてしまうよ。
そう思えども、私の瞳からも涙はあふれ続けていて。
つらい
つらい
かなしい
つらい
どうして
どうして
どうして___
どれくらい時がたったのか。
彼の側近たちは、今はそっとしておこうと劉輝のそばから離れたから。
ここにあるのは亡骸と劉輝と私だけ。
悠舜
なぞる名前。
応えは、ない。
空気に溶ける前に、劉輝がそれを取り込むように、また叫ぶ。
声にならない慟哭は、心臓に突き刺さる
どうして、残していってしまったの。
孤独な王を、このままにして。
あなたは欲しいものを手に入れたかもしれないけれど、
ずっとほしがっていたものを宝箱の中にしまったまま、手の届かないところへいってしまったけれど。
この王は、そのせいで、また一人になった。
心の中にぽっかりとあいた大きな穴を、唯一柔らかく塞ぐことのできた、あなたの存在は、
王をよりいっそうの孤独に追い込んだ。
いくな、と何度も叫んだ王の願いをどうして最後までかなえてあげられなかった。
優しい彼が、私の友が、なによりも望んだあなたの存在を。
どうしてあなたが簡単に手放した。
つらいのに、沸き上がるのはいらだち。
王のそばにあることを、これから先もあるであろうそれを、想像することを是としなかった、ひといこの宰相に。
私の友を、泣かせたあなたを。
優しい劉輝は、あなたを恨めないから。
代わりに私が怒りを背負おうか。
そっとそばにひざをつく。
私の温もりを感じたように手を伸ばすあなたを、愛しまずには、いられない。
私なんかじゃ、あなたの穴を埋めれないけれど。
「劉輝」
けれど、それでも
あなたの側近たちよりは、あなたの闇を見据えてる
あなたの想う彼女よりは、あなたの孤独を知っている。
あなたの慕う兄よりは、あなたの願いを求めるものを理解しているわ。
闇は、深すぎて、私は簡単に飲み込まれてしまうけど。
砂漠の中の一粒の砂のように、あるのかないのかわからないような、そんな存在だけれども。
それでも、それでも、
私は、いるわ。
ここに、この場所に。
手を伸ばせるわ。
あなたに向けて。
体温を感じられるわ。
ふれて、笑って、言葉だってかわせる。
あなたの闇におぼれてしまうかもしれないけど。
それがあなたのものなら怖くはないよ。
劉輝、あなたの、私のとものすぐそばに。
あなたが、私の存在をいらないというそのときまで。
大丈夫。
私の立場は危険なところではないし、あなたがいつだって守ってくれるのも知っているから。
あなたよりも私は年下で、重ねた年月も浅い。
ふつうに考えれば、私の方が、長くいきるから。
だから、大丈夫。
あなたが最後、悠舜のそばに向かうそのときまで
私はあなたの、友であり続けるから
※※※
骸骨をよんで、ぶわってなった。
悠舜、なんで王様おいていったの!!
いずれ書き直す。
戻る