ドリーム小説
sket









ここに入らなければいけないのか。
ゆっくりと目の前の扉をみてため息。
掲げられるプレートにきざまれるのは生徒会の文字。
ぶっちゃけ私にとって関わりたくないもの上位三位以内にはいる場所だ。

(・・・帰ろうか)

ゆくかゆくまいか。
ここまで来ておいてなお悩む。
その理由はこの中の人物にあって。
それがいなければなんの問題もないのだ。
私にとって。
でもまあ、いつまでもそんなことをしていては今日見たかった再放送の番組に間に合わない。
仕方ないともう一つため息をはいて、そうして、扉をたたくために手を振りあげて___

ゴンッ

ものすごくいい音をたてて私の拳は開いた扉の奥に吸い込まれて、目の前に現れたとある生徒の顔にめり込んだ。

「あ」

「あら」

「あらら」

「・・・」

「・・・」

当事者であるはずの私と目の前の生徒の無言に対し、その部屋の中にいたであろう人物たちから小さく声が漏らされる。

「・・・ごめん?」

何と言っていいものか。
そっと手をのかしながら目線をそらしながら、
口にした言葉。
結構痛かったのか、たたかれた箇所を押さえてしゃがみ込んだ彼。

「大丈夫?椿」

ゆっくりと彼、椿に近寄ってきたのは一人の男で。
それは私にとって苦手な部類に入る一人でもあった。

「っ、」

思わずひきつった声を上げて、一歩後ろに下がれば近寄ってきた男が不思議そうに首を傾げた。

「どうしたの?大丈夫?」

優しい笑みを浮かべて問いかけてくる男だが残念ながら私にとっては鳥肌が立つほど嫌悪感。
というか普通は女が大丈夫かと近づくもんじゃないのか。

「ごめんなさい、近づかないでいただけると大変嬉しいです」

視線を逸らしたまま言葉を紡ぐ。

「かーかっかっ!!なんだ道流、嫌われてやんの!」

ぞわり

本日最大級の鳥肌。
後ろから聞こえたそれにとっさに距離をとろうとするが、後ろにはその声の主。
前には先ほどの男と椿。
とっさに考えた「まだまし」なのはこの中で唯一名前を知っている椿で。

「っ」

まだ先ほどの痛みから回復しきっていない椿へと突進。
後それを盾にして体を隠す。

「っ、なにをする!」

まあ実はクラスメイトなわけで、椿が自分のことを知っているのはなんらおかしくはない。のだが。

「いやいやいやいや、椿、私無理だから。この生徒会の男、椿以外無理だから!」

ぞわぞわする鳥肌を納めるように腕をさすっていればあきれたようなため息。

「ならばどうしてここにきたんだ?」

もっともな問い。
そこでようやっと思い出す当初の理由。

「ああ、落とし物を拾ったから届けに」

ごそごそとポケットを探って出してきたのは皮でできた定期入れ。もちろん中には定期が在中。

はい、と椿に手渡す。

「さっき廊下で見つけて。本人捜そうかと思ったんだけどわかんないし、帰ってたかもしれないし。じゃあ生徒会でいいかと思って。」

さて用事は済んだ。
あとはこの場所を突破して帰るだけ。
そう思いちらり視線を動かす。
椿以外の男二人は、先ほどと同じ位置からこちらを見ていて。
動けねえ。
だがさっさとかえってしまいたい。
そうと決まれば。
がしり、掴んだ椿の腕。
ぐいと引っ張り自分と奴らの壁にして。

「用事は以上。椿、扉開けたってことはどこか行く予定だったんだろう?途中までつきあうよ。」

自分本位?いくらでもいえ。
私はつきあいたくないものとは距離を置きたいんだ。
生徒会然り、お助け団然り。

「椿!ついでにそれスケット団に預けてこい。俺たちより適任だろう。」

ちょっとまて。
一応自分でも悩んだんだ。
生徒会かおたすけ団に頼むか。
唯一知ってる椿がいるというそれだけでこちらを選んだんだが、結局お助け団に頼むのかよ。

「っ、何で僕が!」

あわてたような椿の声。
それにうなずきつつ外にでた体をそのまま反転させた。

「途中まで?だっけか?ついていってくれるっていってるんだから言葉に甘えてしまえ!」

その言葉に掛けだそうと思った足がつんのめった。

「いやいやいや、私用事終わったからかえ___」

「かっかっかっ!ありがとな!」

あわてて反論後、残念。切り捨てられた。
巻き込まれるのはごめんと止まった足を動かそうとすれば、がしり、掴まれた腕。
何事かと振り向けば険しい顔の椿。

、つき合え」

「いやいや、言ったよな?私帰るって」

、ついていってみろすげえおもしろいから」

ちょっとまて。
呼ばれ方はそれで決定なのか、そうですか。
誰も行くと言っていないのに、掴まれた腕は引かれるまま。
そうしてつれて行かれるのは何ともいいがたい部屋の前。

「あー!椿やん!はいりいはいりい!」

扉を開けた瞬間、ぱあっと輝いた笑みを見せた金色。
それはそれは嬉しそうに、まるで大阪のおばちゃんみたいな反応だ。

「椿、飴ちゃん食うか??」

うん。完璧におばちゃんだ。

「ん?椿か。ボッスン、椿だ」

パソコンから声を出すめがねの男もどこかそわそわしていて。ぼっすん。そう呼ばれた男はしきりに目線をうごめかして、おちつかなそうにしている。

「・・・」

ちらりと好奇心から見た椿の表情もおもしろいことにそのぼっすんとやらにそっくりで。

「ほらほら、入りて!もう、ボッスンなにしてんの!そんなとこいんとこっちに来て座りいな!」

「椿なにを飲む?ココア?ココアか?」

「いや、僕は___」

「あ!そういえば村上さんからもろうたバームクーヘンあんねん!持ってくるさかい、椿食べな!」

「いや、だから、」

「もう、遠慮せんでええって!はよ座りいな!」

「・・・あーもー!!お前等黙れ黙れ!なんでいきなりくんだよ椿!!!!」

大阪のおばちゃんさながらの対応の金色。
それに対し冷静にそれでもどこかテンションの上がる眼鏡。
顔を微かに赤く染めて目線をそらす椿とぼうし。

なんだこれ。
きもちわりい。
それが一番の感想だった。
そのカオスに紛れて帰ったのはばれてない、と思いたい。



面倒なものにはかかわらない。
それが毎日を平和に生きる方法だ。





















リクエストくださった方ありがとうございました。
傍観とか言っておきながらがっつり関わってる気がするのは気のせいです。
これ以降を書くとすれば十中八九関わらないです。
関わりそうになるたびに逃げると思われます。
そうして逃げ切れずに捕まります、はい。
夢主設定としては、二年生。
椿と同じクラス。
派手な人とか面倒な人とはかかわりたくない、そうして毎日をそれなりに充実しながら生きてる。
以上。





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