ドリーム小説
やさしさ 〜ルークと!〜
「どうしたの?ルーク」
一つのキノコの前で、座り込んで首を傾げるルーク。
五分ほどその格好で悩んでいるのを眺めていたが、そろそろ声をかけてみる。
と、びくり、と大げさに体をふるわせてあわてて振り返った。
「っ、かよ。驚かすなよ」
本当にびっくりしたようで挙動不審になっている。
視線をさまよわせるそれは、何かを探していて。
「ルーク?」
再度名前を呼んで、答えを促せば、困ったように頬をかいて。
「・・・なあ、。キノコとかにも詳しかったりする?」
そっぽを向きながら、なのに、ちらちらとこちらに視線を向けて、彼は問う。
「ルークよりは確実に」
少し笑いながら答えれば、むっとした表情がこちらに向いて。
「・・・その、チーグルが食べれるのって、あるか?」
怒ったように、彼はそう口にした。
頭の中に浮かぶ、水色のチーグル。
そういえば、あの子にひどい言葉を投げかけていたなあ、とおもいながらルークを見かえす。
鮮やかな緑色が、瞬く。
不器用で、とても優しい子。
「チーグルは、このキノコ、とても好き。こっちの植物もよく食べてるかな」
一緒に彼の横にしゃがみ込んで、そのキノコを手に取る。
その横にあった、植物も。
それに熱心に耳を傾けるルークの姿に、思わず頬がゆるむ。
知ってるよ。
いつも心にもない言葉を口にして、落ち込んでいること。
それが誰かを傷つけていることも、理解していること。
ごめんなさい、その言葉を口にすることができないけれど、心の中ではずっとつぶやいていること。
「大丈夫。ミュウは一番ルークの優しさを知ってるから」
私から受け取ったキノコを手にぎゅう、とうつむくルーク。
その紅の髪を、優しく撫でてやる。
ふわふわの感触が、広がる。
「いってらっしゃい」
落ち込んでいるであろうミュウのところに。
あの子を慰めているであろう彼女のところに。
優しく背中を押してやれば、小さく笑みを見せてルークは走り出した。
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