伏木蔵
確か、日陰ぼっこ、とかいったかな?
これは。
だが、しかし、寝ている私のすぐそばに来る必要などなかったであろう。
何を思って忍たまが忌み嫌うくのたまの元に来たのか、理解に苦しむ。
一度ため息をついて、どうしたものかと思案する。
動きたいのだが、動けばこの子は起きてしまうだろう。
すやすやと眠る幼子を無理矢理起こすような、そんな非情な心にはまだなりきれていない。
これが、三年とか以上になると別ではあるが。
さてさて、本当にどうしようか。
暗がりの中だからかいつも以上に悪く見える顔色。
その肌にそっと手をあてて。
すり、と擦り寄ってくるさまは猫のようでかわいらしい。
子供は好きだ。
感情そのままに、体全体で全てを現してくれる。
大人のようないらない感情は抜きにして接することができる。
さらり、髪をなでてその感触を味わう。
きっと、こんなことができるのも今この時だけ。
この学園内にいるときだけ。
子供は好き。
でもそれだけ。
これから先私には持てないであろうもの。
だって、ね。
くのいちとして生きるのですもの
そんなもの必要ありません
(将来には期待できないのです。)