きり丸
なんっすか?
ただ見ていただけなのにそう言われた言葉。
でも嫌いというわけではなさそうでむしろどう対応するか考えあぐねているかのよう。
そう、考えているだけ。
その綺麗な瞳はこちらを向かない。
「別に何も。」
「そうっすか。」
ぼおっとその顔を再び見つめていれば居心地が悪そうに身じろぐ。
「やりにくいんっすけど。」
「ただ見ているだけだよ。」
それでも、こちらを向いてはくれないの。
じいっと、将来学園一のサラストになるんじゃないかと思わせる、その紺色がかった髪。
綺麗だなあ。
図書室内の静かな時。
当番の彼をじいっと見つめて。
本当はこんなことしてちゃいけないけど。
もうちょっとだけみていたい。
好きだなあとか思う感情はあるけれど
それ以上にあなたに傷ついてほしくはないの。
かといって、私から離れるのはできないから
それならばいっそのこと
(ねえ、早く嫌いになってよ)