鉢屋三郎
鉢屋三郎。
うちはこいつが怖くてたまらへん。
こいつは気づいてた。
うちらくのたまがなぜこんなにも忍たまたちを虐げるのか、ということに。
いつでもうちらが何か仕掛けるときは何の感情も持たない瞳でうちらを見てた。
それは怒りも、いらつきも、悲しみも、何もこもらぬ目で。
だからこそ、うちはこいつが好きでない。
いつ、その理由を話すかわからんから。
何かを仕掛けても、かかったことがないこいつ。
何かを仕掛けても、ただうちらを見るだけだったこいつ。
それが変わったのはうちらが彼の逆鱗に触れた時。
同じ顔して笑う彼に、手を出した時。
否、ちがう
彼がまねる彼に手を出した時、こいつは恐ろしいほどに激高した。
その時から、うちはこいつが怖くてたまらへんくなった。
怖くて、でも、友人たちとおる時の笑顔は綺麗で、でも、怖くて。
くのたまとして、こんな風に恐れを抱くことはいいことなんかじゃないけど、でも、
(こいつに対してうちは本能にも近い恐怖を持ってる。)