左吉
あらら。
こんなところでくたびれているということは、相も変わらずあの学園一忍者しているというあいつは無理をさせたのだろう。
中庭の木の根元で蹲るその水色にため息。
しゃがみこみふにふにとしたそのほっぺをつついてみたが微かな唸り声を洩らすだけで再び眠りに就く。
柔らかなその頬はまだ幼さをありありと示す。
結いあげられた髪の紐をとき降ろしてやればもたれやすくなったからであろう。
少し表情が緩やかになる。
黒い髪はさらさらと風邪に揺られる。
ゆっくりとその髪を撫でてやればよっていた眉が和らぐ。
まだまが母が恋しい年頃であろう。
一様にこの年代の子供たちは家を恋しがって泣くものだ。
くのいちの一年生たちもそうであった。
だが、同時におなごというのは強くもあって。
おのこよりもはやく大人になる。
だからこそ、私たちは先に強さを見せつけなければならないというのに。
まだ、こんなにも幼い子たちなのだから。
まだこんなにも可愛らしき子たちなのだから。
自分の行動一つ。
それがくのいち教室の子たちにどんな影響を与えるかもわからない。
それでも、
(まだもうしばらくはこのままで)