虎若


鉄砲ってかっこいいなあ。

そう思ったのは彼の姿を見たせい。

まだ私とおんなじで入ったばっかりだと思うのに。

すっと、姿勢を正して的を見据えて

真剣な瞳

辺りに満ちる空気

放たれた鋭い音と共に

洗礼された様な軌道を描いてそれは的へと吸い込まれるように

かっこいいなあ

的に吸い込まれたのを見て微かに手を握り締めて喜んだ彼に、私の心はころりとあなたに惹かれてしまったようです。

先輩方皆に、駄目だよって。

忍たまに近づいてはいけないよって。

そう言われ続けていたけれど。

それでも、まだ、もう少しだけ。

いいですか?

ただ見ているだけでいいのです。

近づきたいとは思わない

そんな彼を見ているだけでいいのです。

また一つ的に吸い込まれた弾丸。

小さいからと馬鹿にしないで。

この想いは本物なの。

だってその証拠に



(あなたから離れるくらいならあなたのその弾丸で私を打ち抜いて。)