中在家長次




図書室の長。
フェアリー
おかしな異名を持つ先輩。

私はその人を眺めるのが好き。


先輩方と違って私は六年生の忍たまの方たちに何かしてきたわけじゃない。
だからこそ警戒されたりだとかはなかったけれど、それでも、良い視線を向けられるわけじゃない。

けれども、別にそれは嫌とかじゃなくて、仕方がないと諦めてるの。

だって私は女の子である前にくのいち。
変に近づかれるよりもずっといい。
だからこそ、私はあの人を眺めるの。
その顔が笑みを形作るのを待ち望むの。

あの人の一番素敵な顔はやっぱり無表情だけれども、先輩たちでさえ見たことがないってされる笑みを見てみたいと思って。
図書室で本を探すふりでそっとその姿を視界に入れる。
俯きもくもくと何らかの作業をしている先輩。
時折後輩たちに話しかけられて完結に答えて。

それを私は見ているだけ。

何の話をしているのだとか知りたいことは知りたいけれど
あの人が時折作ってくる甘いボーろを一緒になって食べたいだとか
想いはするけど、入りたいとは思わない。

だってあそこは私の場所じゃないから


私が入れば壊れてしまうの。


ならばそっとここから見ていたい。



(穏健?いいえ、臆病なだけなのです)