ドリーム小説


















我らが寮長はあまりにも成績のそぐわない私に、補習を、おこなってくれることになった。

内容はなんてことはない。

1年からの復習で。

わからないものをわからないままでいさせていた私にはとてもありがたい。

教鞭をとるときのこの人は、いつもと同じ、まったくもって優しくはない。

それでも教え方はうまいし、つまづくところをわかってくれる。



普段の授業以上に、私はこの補習を楽しみにするようになっていた。


優しくはない、厳しいだけのこの人が、いつしか、私にとってなくてはならない存在になっていた。


あの嫌みっぽい言葉は、よく聞けば心配していると告げていて。

低い耳に残る声は、穏やかに私にしみこんで

眉間にしわを寄せていつも不機嫌そうだけど、けっこう不摂政な人だから眠いだけだったりして。


そういうことがわかるくらいには、私は心を、惹かれていた。



補習の甲斐あってか、授業にもなんとかついていけるようになって。

少しではあれど、呪文も発動するようになった。


それでも、一番好きなのは魔法薬学であったけれど。




今日も今日とて、夕食後向かうのは教授の部屋。

本日で一応1年生の範囲が終了する予定だ。

なんとか今の授業にも追いつけそうだ、と安堵の息をもらす。


と。


「またあの子、教授に教えてもらいにいくみたいよ」

「迷惑を考えないのかしらね」

「スネイプ教授だって忙しい人なのにね」


その言葉に思わず足が、止まった。

そしてゆっくりと、そちらを、みて、しまった。


同じ、緑色のネクタイ。

たぶん、同級生。

金色のきれいな髪をゆらす、きれいなひとが、三人。

向けられる視線の鋭さに、浮かぶ嫌悪に、足がふるえる。

瞳がかちあったその瞬間に、きれいなその人の表情が、ゆがむ。


「なあに?」


何にも、用なんてないんでしょう?

そんな言葉をこめられて、じとり、視線を交わして。


「何か間違ったことでも、言ったかしら?」


口々にもたらされる柔らかな棘。


じくりじくり、癒されていたはずの傷口が、また抉られていく。


「なによ、文句があるなら、いいなさいよ。」

同い年、でも発育の違いからか、見上げるその人たち。


「もう一度、聞こえるようにちゃんと言ってあげるわ。」

繰り返される言葉

「先生は、忙しいの。」

ずっと、思わないようにしてた、もの。

「あなたにばかりかまっていられないのよ。」

ゆるり、杖が、眉間に向けられる。

「自重なさい」




瞬間、頭の中

何かが。はじけた。















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