ドリーム小説
「グリフィンドール!!」
くたびれた帽子が叫んだ
湧き上がる一つのテーブル
その歓声へと向かって跳ねるように足を進める少女
柔らかなウェーブの黒い髪、
黒曜石と称される黒い瞳。
華奢な手足に白い肌。
興奮からか頬は赤く、ふわりと浮かぶ笑みは周りの視線を釘付けにする。
「ハリー!」
彼女が呼んだ名前は、先ほど同じ寮に組み分けられた有名人のもの
呼び声に応じて彼は鮮やかに笑ってみせて。
やっぱりなあ、と、思う。
きっとあの子は私とは違うところに選ばれるのだろうと、それは的中して。
彼女の口からでるのは、なめらかな英語。
私の翻訳薬を使ったそれとは全く違う、純粋なる言語。
二年前、私がこの学校からの手紙を受け取ったとき両親が一番にしたのは妹に英語を学ばせることだった。
いつかこの子にもそんな手紙が来るかもしれない。
向かうのは私なのに、現在進行形で困っているのは私なのに。
いつだって、そう。
彼らは私より、妹のことばかり。
”お姉ちゃんなんだから。”
理解はできるけど、認めたくはない言葉。
私よりも体が弱かった妹を、大切に大切に慈しんだ結果。
何でもかんでも私は二の次。
一番は妹。
何かを選ばせる時も、何かを習わせる時も。
いつだって妹が先。
お姉ちゃんでしょう?
わかっているよ。
この子は体が弱いんだから。
知ってるよ。
でも、やっぱりさみしいよ。
学校の発表会。
妹が突然熱を出したから、と姿を現さなかった。
ずっと、待ってたのに。
週末に久しぶりにお母さんと二人でお出かけの予定だった。
妹が一緒に行きたいと駄々をこねて、結局妹の望む場所に。
やさしい両親は嫌いではないけれど。
かわいい妹を嫌ってはいないけれど。
心の底から大好きと叫べるほど、関心をもてないのです、もう。
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