ドリーム小説


















初めて、妹のいない世界。

あの子に煩わされることのない世界。

はじめて触れた魔法に感動して一日一日があっという間だった。

最初に乗った電車では、英語をまだ話せない状態で。

鮮やかな赤髪の双子が、私と共にいてくれた。

身振り手振りで話をして、いろんな方法で私を笑わせてくれて。



初めてできた、優しい友達。


寮は離れてしまったけれど、大切な、大切な友人。



そう、大事な人たちなの。



ねえ、お願い、とらないで。




寮が違うからなかなか一緒に話す時間はなくて。

だから、週に一回、時間を合わせてお話していた。



待ち合わせの場所にたどり着いたのに。

ぴたり、足は動きを止める。



どうしてあなたがそこにいるの?


声にならずに息を吐く。



赤髪二人に囲まれて、楽しそうに笑っている。

二人は私にするのと同じように、あの子の頭を柔らかく撫でて。



また、私の大事な人を、とっていくの?



ゆるり、頑張って足を一歩、踏み出す。

かつり、響いた音に、三人の視線がこちらを向く。


「お姉ちゃん!」


最初に響いた声は、妹のもの。

ぱあ、ときれいに笑みを浮かべて、ぱたぱたと音を立てて走り寄ってきて。

ぎゅう、と私に飛びついた。

それをよろつきながら抱き留めて背中を撫でてやる。

無意識にしみついた動作。

そのままで双子を見やる。



「姉君のお迎えが来たようだね、お姫様。」

「魔法が解けてしまったようだ。」


大げさなまでの動作。

やれやれ、とため息をつくように。



ああ、いらなかったのは、私だったのか。

私が二人の邪魔をしたのか。


この時間の双子は、私だけの、もの、だったのに。



小さく口角を上げて、笑う。

きっと、今私はひどくいびつな笑みを浮かべているのだろう。

でも、笑わなきゃやっていけない。



双子は、私を姉と、いった。

私ではなく妹を主体として、私を呼んだ。


小さいけれど私にとっては大きな事実。





それは、鈍く鈍く、胸に突き刺さった。
























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