ドリーム小説
ポッターと、その友人たちが、賢者の石を守った。
おとぎ話みたいな、冒険話。
含まれるのはやっぱり妹の名前。
妹さんすごいね、そんな言葉がたくさんかけられて
あいまいに笑って返す。
すごい?
どこが。
勝手に行動して、勝手に危ない目にあって。
一歩間違えば死んでいただろうに。
それのどこが、すごいのか。
姉妹らしい、そんな言葉と共に私に向けられる好奇心の瞳。
それは私を苛んで。
医務室で、ベッドに横たわるあの子を見て、どんなに心臓が縮んだことか。
お姉ちゃん。
起き上がって私を呼んだ妹の頬を、力いっぱい叩いた私は間違ってないはずだ。
何をするんだ、と憤るグリフィンドール生たちを無視しながら再度手を振り上げて。
その手を柔らかくつかむのは赤髪の双子。
滴をこぼす瞳を隠してくれたのも、彼ら。
「心配した、って素直に言えばいいんだよ。」
そんなやさしい気持ちなんか持っていないのに。
「馬鹿なことをするなって言えばいいんだよ。」
聞き入れてくれないこの子に?
お姉ちゃん、小さくつぶやかれた妹の声。
それすら聞いていたくはなくて。
赤髪二人を振り払って医務室から逃げ出す。
なのに、せっかく逃げ出したのに、目の前には私をさらに甘やかす友人。
「おいで」
柔らかな笑みで、私を誘う。
逃げる元気も、気力もなくて。
同い年のやさしい友人に縋り付く。
「嫌いよ、妹なんて。」
ぽつり落とした言葉に、そう、とだけ返される。
「全部、全部もっていくの。」
私のものだったのに。
「大丈夫。僕は君から離れないから。」
穏やかな声。
とても強くて優しい友人。
「セド」
呼べばなんだい、とばかりに先を促されて。
「ありがとう」
小さくつぶやけば柔らかな笑い声が落ちてきた。
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