ドリーム小説
魔法学校への汽車の中。
わくわくする感情を止められなくて、走り回った廊下。
その先、一人うずくまる少女がいて。
声をかければ、びくりと体を震わせて、彼女がこちらを見た。
黒い髪、黒い瞳。
アジア系の顔立ち。
あまり見ないそれに興味をそそられて、二人そろって彼女に挨拶をする。
けれど彼女はなぜか首をかしげて、そして聞きなれない言葉を発した
片割れを見やれば、向こうも同じようにこちらを見ていて。
一度二度、瞬きをする。
「話せないのかな」
「言葉がわからないのかな」
僕たちの言葉におどおどと視線をさまよわせる
小動物のようなその姿は庇護欲をそそられて。
いつもいたずらをする時のようにポケットからいろんなものを出してみせる。
緊張をほぐすように身振り手振りを交えて、
そうしていればいつの間にか彼女の表情は穏やかに、優しい色に変わっていて。
その表情に、虚をつかれた。
家の中ではいつだって、疎まれたり怒られたりしていた僕らの行動。
それを、この少女は、女の子はやさしく受け入れてくれて。
そっと手を取られてぎゅう、と握られる。
「ありがとう。」
つたない言葉。
でもその声色はとても温かく。
ふわり浮かべられた笑み。
今まで見たどんな人のものよりも美しく。
僕らを受け入れてくれた初めての少女に興味を抱かないわけがなく。
この子が欲しいと、僕らのものにしてしまいたいと、そんな感情に変わるまで長い時間はいらなかったんだ。
妹が来るの、そういってはにかんで笑ったこの子だったから、その子を大事にしなければ、そう思うほど彼女とは遠くなって。
寮が違う彼女をこの子にかぶせていたりして。
その間にディゴリーが彼女にちょっかいをかけていたり。
本当は、怖かったんだ。
彼女が僕らを選んでくれないかもしれないことが。
「「おいで!!!」」
だから、手を伸ばして、その腕をつかめたときは、心の底からうれしかった。
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