ドリーム小説













蒼の世界で生きる 1










気が付いたら知らない世界にいた。



一言でいえばとても簡単なそれ。

でも実際に自分の身に起こってみれば理解が追い付かないどころの騒ぎではなく、ただただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

ここはどこかと、そんなことを尋ねれば怪訝そうな顔をされるのは分かっていて。


でもなにより、すれ違う人たちの言葉が理解できる言葉ではなく、通り過ぎる人が誰も自分を見ていないことに気が付いたのはすぐだった。



意味が分からない

意味が分からない

自分がここにいるわけも、今自分に起こっている現象も




助けてだなんて、そんな想いは口に出るわけもなく




意味も分からず知らぬ世界で立ち尽くす自分。

体が動いたきっかけはただ一つ。



視界の端で、自分の世界との共通点を見つけたから。



紫色のその衣服は、たった一つ自分がわかるものであったから。




おいてかないで、どうかどうか


伸ばした手。

近づく距離。

鮮やかな潮の香り




そして




その色をつかもうとした瞬間、それを遮るように突きつけられたものにようやっと自分はここに存在しているのだと認識をした









※※※※





気配も何もなかったそれに気が付いたのは自分の着物に触れられる寸前。

条件反射のように突きつけた銃に恐怖するでもなくただ泣きそうにそこに立っていた。


「お前さんだれだ。」


問いかけたそれにこたえる様子はなく、ただ離さないように、と着物を握る手が強くなって。


 『ここはどこ』


小さくつぶやかれたそれは、こんな場所では聞くはずのなかった言葉。





故郷でのみ使われるワノクニの言葉。






『お前さんはだれだ?』



再度問うた言葉。

ワノクニの言葉を使ったそれに、目の前の人物はほとりほとりと涙を流した。


















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