ドリーム小説
蒼の世界で生きる 忘却
結果的に言えば、は見つからなかった。
不死鳥となって探し回ったあの島。
どこにも姿どころか気配もなく。
もともとない存在感も相きわまって、誰一人として彼女を覚えている者はいなかった。
否、一つだけ、とある装飾やら雑貨やらを扱う店の店主だけがそんな人物をみたことがあると口にして。
あの日、俺たちが船を出した日の昼に。
何を買おうかと楽しそうに店を見回っていたと。
いくつかの商品を贈り物用として包装してほしいと頼まれたと。
それはどう考えてもやはり彼女は自分の意志であの船を下りたということではなくて。
つまりやっぱり俺たちは彼女を置き去りにしてしまったのだと示す。
この島に近づいていたはずの赤髪も姿は見えず。
急いてこの島をでた意味は消えていて。
船に戻って報告したそれにそうか、と小さくつぶやいた親父。
普段は表に出さない苛立ちをまとうイゾウ。
みるからに覇気のない16番隊。
無意識だろう、一つ余った甘いものにため息をつくサッチ。
それはあの小さな少女が確かにこの場所に存在していたという証拠で。
はじめは、感じていた違和感もいつのまにか日常に変わり
探してしまっていた小さな影は、隅のほうに追いやられ
まるで彼女が消えた代わりとばかりに、梨湖が居場所を増やしていって
そうして、
大事な、まだまだ守ってやらねばならない家族のことはせわしない時間の流れと共にゆっくりと記憶の中に埋もれていったんだ。
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