ドリーム小説













蒼の世界で生きる 戦闘













この船に乗せてもらって一番感じたのは、私はあの船で随分と甘やかされていたということ。







「自分の身は自分で守りな。」


その言葉を発したのはこの船の副船長であるベンベックマンさん。

それが嘘でも何でもない言葉だと気がついたのは一度目の襲撃の時。

あまり器用ではない手先で洗濯や掃除、倉庫の片づけなど何の知識を持っていなくてもできる役割をこなしていれば甲板から響いてくる騒がしい声。

何事かとそちらに向かえばそこには刀や銃、そして飛び散るのは赤。


赤髪たちのそれはそれは楽しそうな笑顔。


あの白髭の船では非戦闘員は戦闘時船長さんの部屋に集まることになっていて。

何かあったときも能力者である隊長たちがいてくれて。

でもそれよりも先にあの船をおそう人種というのはとても少ないもので。




けれども、ここは違う。





あの船よりも人数も少ないし船自体の大きさも小さい。

際だった能力者がいるわけではない。

さらにいえば赤髪という人は思っていたよりも戦うことが大好きなようで。



「いぞうたいちょう、まるこたいちょう」



小さく漏れたその名前は、あの場所で私を守ってくれていた人のもの。

どうしてここにいてくれないのか、そんなバカな考えが浮かんで。



甲板で広がる赤にただ立ちすくんでいればかちり、赤髪と視線が合う。

そこに浮かんでいたのは獰猛なまでの光。

片腕だということは彼にとってマイナスにはならないようで。


!」


声と同時に投げつけられたのは、刀。

案の定受け取ることなんかできなくて、ごとりと重い音を立てて地面に落ちたそれに手を伸ばした。

今まで手にしたことのなかった重さに、冷たさに、ぞくりと背が凍る。


振り回すには重すぎて、でもこれを手にしたということはそういうことで。


赤髪の声によって私の存在は知れ渡った。

一斉に向けられるぎらついた瞳。

どうせ死ぬならば一人くらい道づれにそんな言葉が聞こえてきそうで。


向かってくる刃を、鈍い条件反射でよける。

見事によけられるはずなどなく、それは簡単に私の服を、髪を、皮膚を切りさいて。

ただただ、逃げた。




死にたくはない。



もう一度あの蒼に、あの場所に


思ったのはそんなこと。

向かう刃に向き直って重たいそれをがむしゃらに振り回す。


そんな他血筋が相手にきくわけではなかったけれど、牽制にはなったようで。

体中に走る痛みをそのままに必死に体を動かした。


乾いた音と共に、目の前の刀を振りかぶった男が体勢を崩す。

その向こうに見えたのは赤い髪で。


。戦い方は教えてやる。この船に乗っている間、守ってもらえるとは思うな。」


まっすぐの視線にうなずく以外の手段は持っていなかった。
























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