ドリーム小説
蒼の世界で生きる 生存
泣きそう、というよりもほぼ泣いてるだろう、そんな表情はひどく被虐心を煽る。
あの船では守られる側だった彼女を、この場所でも同じようにするつもりはない。
あの船に返すつもりはないが、いずれ彼女が見つかったとき、全く違う人物になっていればあの不死鳥はどんなかおをするのか。
とても楽しみで。
戦闘が始まったことを教えるつもりもない。
勝手にでてきたならばそっちが悪いのだ。
開いた扉の向こう、泣く一歩手前の顔で、こぼれそうなくらい瞳を大きく見開いて。
その口が小さくかたどった名前はあの蒼い鳥のもの。
今おまえが乗っているのはどの船か、ちゃんとその目で認識しろ。
気がついたときには刃を放り投げていて。
必死で逃げ回る姿に笑いがこみ上げる。
相手は一人だというのに逃げきれずに切れていく服に髪に皮膚に。
のぞいた赤に、ふくよかとは言い切れない体に、戦闘時特有の高ぶりと共に、欲情した。
このまま殺されるのは少々惜しい。
そう思った瞬間、彼女の目の前の男を切り捨てていて。
見開かれた瞳の中、移った自分の赤に、ひどく気分が高ぶって。
「。戦い方は教えてやる。この船にいる間、守ってもらえるとは思うな。」
自分の身は自分で守って見せろ。
この場所でこの船で生き抜きたいのならば、あの船にもう一度戻りたいとそう願うのならば
その体を、手を、身を、心を汚して、意地汚く身勝手に生き抜いて見せろ。
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