ドリーム小説
蒼の世界で生きる 恐怖
見上げた先にある赤。
自分を拾って、白髭の船までつれてってくれると約束した私にとっての恩人。
彼はそんな人物で。
けれども船に乗ってすぐにわかった。
この人は根っからの海賊であり、はっきり言って白髭への嫌がらせにも近い気持ちで私を拾ったのだと。
半年以上この船で過ごしてきて、幾度もそういう目で見られたことはあった。
この船には女という性別がいなかったからそれはある意味当然なことで。
特に戦闘後には船内をうろつくな、そういわれたのも私のみを案じてのこと。
何度もかくまってくれた副船長には頭が上がらない。
半年という年月によって忘れてしまっていたんだ。
目の前の人物が私という人物を好いているわけではないと。
男は感情がなくても女が抱ける、
それは本当のこと。
ベッドに引き倒されるときにぶつけた足が痛い。
動きをとれぬようにと固定された体は恐怖でこわばって。
目の前の人物は私をみているわけではなく、女という人種をみているだけで。
望んだ
今までで一番あの蒼を、紫を、切望した。
白髭に会いに行く、そういって出ていった赤髪。
ずきずきと痛みを発する首に手をやって、涙を流す。
ぼろぼろと音を立ててこぼれるそれ。
あの優しい人たちに会えないことが、名前を呼ばれないことが、ただただ悲しくて寂しくて。
あの赤い色がトラウマになりそうなくらいに怖かった。
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