ドリーム小説
蒼の世界で生きる 諦観 (badend.ver)
「あなたの勝ちです。」
誰も気づいてくれなかったから、私はこれからずっとあなたの船に。
小さく小さく出した声は、それでも甲板に響いて。
誰かが息を飲む気配。
でも、もういい。
もう、想うことに、疲れたの。
だって、気がついてくれなかったんだから。
きっと気が付いてくれる、そう思っていた私の考えは簡単に覆されてしまった。
事故でおいて行かれたんだと思ってた。
否、そう思いたかったんだ。
でも、ねえ。
見つけてくれないなら、気づいてくれないなら
いないとおなじ
それはもう、いらないってことでしょう?
「副船長さん。先に船に戻ってます。」
くるりと体を反転させて、副船長に言葉をつげて。
向けられる視線に、もの言いたげな彼らに、目を向けることなどしないで。
「っ、!!」
響いた声。
私の名前。
でも、今更呼ばれたって、もう遅い。
思わず振り返りそうになるのを、ぐっとこらえる。
だって、だって、もう賭は終わってしまったんだもの
気付いてくれると願った私の願いは、簡単に打ち砕かれた。
勝ったのは彼で。
私の居場所はもう、ここにはなくて。
ぐ、っと手を握り締めて、すべてを振り払うように足を進めた。
最後に呼んでくれた、それでもういいから。
私を忘れたままで、どうか、もう思い出さないで。
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