ドリーム小説
蒼の世界で生きる 所有 (badend.ver 赤髪)
がおいていかれる原因。
それが目の前にいた。
よりもずっとスタイルのいいからだ。
目を引く容姿に声、それから気配。
後ろにいるが勝てる存在ではなく。
この船に乗ってからだれ一人として彼女に気がつくことは、ない。
それは思っていたよりもずっとずっと、愉しくて。
マルコたちがどんな反応をするのかと、目の前の女に手を伸ばす。
と、瞬時、きらめくいくつもの刃。
しかしながらそれよりもずっと早く煌めいたのはの短剣。
半年間、ただ体に教え込んだ。
俺を守れと言う命令。
それは確かに彼女の中に根付いていて。
くつり、思わず笑みが漏れる。
目の前で刃をかざして、呆然とする。
その姿は今までみてきたどの姿よりもそそられるものがあって。
これでもう、お前は戻れはしない。
「上出来だ。」
心の底からのその言葉。
うなだれる姿。
ああ、きれいだ。
どこから現れたのだと、彼方に向けられるいくつもの殺気に、怒りの声に、
ただただ、絶望で打ちひしがれる、その様はぞくぞくするくらいに美しい。
マルコや16番隊、4番隊の隊長は気がついたのだろう、息をのんで。
信じられないと言う瞳でこちらをみる。
を見つめる。
断言できないのだろう。
おまえたちの知っているは、戦うことなど知らず、ただ守られるだけだったのだから。
「あなたの勝ちです。」
小さな小さな声。
その声に含まれるあきらめに、口端があがる。
声に確証を持ったのだろう、隊長たちが目を見開く。
「副船長さん、先に船に戻っています。」
ゆるり、気配もなく動くにマルコが叫ぶ。
けれどもそれはをとめる抑止力になど、なりはしない。
「マルコ。あれは俺のだ。」
くつり、ああ、愉しい。
人の悪い笑みをしているだろう、実感はしているが直すつもりなどさらさらない。
向けられる鋭い視線を受け流す。
「お前が、つれていっていたのかよい。」
人聞きの悪い。
自分が忘れていった、その事実を遠ざけて、そしてこちらに恨みを述べるのか。
見当違いにもほどがある。
「忘れていったのは、おまえたちだ。」
俺は拾っただけだ。
落とし物は、拾った奴のものだろう?
特に海賊ではな。
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