ドリーム小説
蒼の世界で生きる 兄妹
痛みの中聞こえてきた明るい声。
それは、二番隊隊長のもの。
そうして気が付いたときには先ほどまでの痛みはなく、
怖いくらいの赤は消えて、ただ柔らかな緋色が私の視界に合って、
暖かなぬくもりに包まれていた。
赤髪の声。
今までは恐怖にしか感じなかったそれ。
けれどもそのぬくもりの中ではゆるりと恐怖は溶かされて。
「大事な家族で妹だ。」
その言葉は、ただ、胸に、響いた。
家族だと、妹だと、そう述べてくれる人がいたことに。
自分を不必要だと、いらないと、いうことはなく、そのぬくもりを与えてくれる存在に。
あふれそうになる感情を、ぐっとこらえて、赤髪の笑い声を聞き流す。
笑いながら宴会を求めるその声を後ろに聞きながら、ゆるりと首を動かして。
そうすればあきれたようなイゾウ隊長に苦笑いをするサッチ隊長。
それから、どことなく怒ったマルコ隊長がいて。
じわじわと、ようやっとこの場所に戻ってこれたという事実に胸がたかなる。
イゾウ隊長が、私を見てふわり、笑う。
私を、認識してくれている、その人たちが。
「エース。さっさとそいつを返さねえか。」
「お前は空気ってもんを呼ぶ方法を知ったほうがいいよい」
「まあ、お前のおかげでなんとかなったんだがな」
ずっとずっと聞きたかった声。
ずっとずっと求めていた人たち。
「。」
今度こそ伸ばされた腕に、何の躊躇もなく飛び込んで。
「いぞう、たいちょう」
久しぶりにしっかりと口にしたその言葉はどこか他人事で。
舌がうまく回ってくれない。
「」
ちゃんと、名前を呼ばれることに
ちゃんと、その瞳に映れることに
ちゃんと、私を認識してくれることに
この暖かな場所に、再び存在しえたことに
ただただ、感謝を
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