ドリーム小説













蒼の世界で生きる 故郷

















あらかたなくなった料理に満足した様子の面々。

赤髪もその一人。

また一つ、面白いおもちゃを見つけた、そんな表情をしながら彼女に問いかける。


そして、彼女はそれに困ったように笑いながらも



すべて、正直に、話す。




この世界ではないと、

ほかの世界から来たと、


絶対に私の世界はあなたたちには見せられないと。



懐かしいぬるま湯の世界

命を失うことなど早々ない世界

生きることは簡単なのに、簡単に命を絶ててしまう世界



夢など、ない世界。



思い出すのはモノクロの世界。

私の確かに存在していた場所。


そこのことを、彼女は話す


笑って、その瞳に悲しさを隠して、笑って




「それが、本当だという確証は?」




赤髪の言葉に、彼女の、笑顔が、消えた。




「赤髪!!お前さっきから聞いてればっ!」



蒼が、怒りで立ち上がる。

彼女の笑顔が消えたことに、白髭の船員たちがざわめいて。

どんな時でも笑っていたのだろう彼女は、ただ、うつむいて、その手をぐっと握りしめて。



この人は、赤髪は、本当に子供のように引っ掻き回すのが好きな人。

ただ面白ければいいと、自分に影響を与えるもの以外は簡単に切り捨てる、そんな人。

きっと彼にとって私は都合の良かった道具。

白髭をからかうための。

この船をざわめかすための。


そして彼女に持ったのは興味。


彼女が言うその世界。

それを証明して見せろと、俺を楽しませろと笑う




なんて、面倒な子供だろうか。





「赤髪さん。彼女の言葉は何一つ、嘘じゃない。」






気が付けば言葉は口からこぼれて。

胡乱げな船員たちの視線。

驚きで目を見開く隊長たち。

涙をためた彼女の瞳。


そして、また一つおもちゃを見つけたとでもいうような赤髪。




「地球は確かにあって、そこに日本は存在して、その中のどこかで、彼女は、私は生を受けたから。」








それはもう、とおいかこのことだけど。






























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