ドリーム小説








蒼の世界で生きる 「ただいま」













、ちゃん、それって・・・」



一番に声を出したのは彼女。

恐る恐る、とでもいうそれは確かにに向けられて。

思わず笑う。


「ごめんね、ずっと、言いたかったけど、いえなかった」


信じられなかったから。

信じてあげられなかったから。


「つまり、。お前もこのお嬢ちゃんとおなじところから来たと?」


赤髪の残酷なまでの興味を示すその瞳、

獲物を狩るかのように鋭く向けられて思わず体が硬直する。



「やっぱり、俺の船に乗れよ。」



そんな面白いもの手放すなんてもったいない


そんな言葉が聞こえてきそうだ。


伸ばされた手、それはただの恐怖の対象。


すくむ体を笑う赤髪。






「赤髪、それくらいにしとけよい。」




それをかばってくれたのは、不死鳥と呼ばれるその人で。


目の前に現れた広い背中に、赤色を遮ってくれたその姿に、後ろに回された手が、私をかばうようにあってくれることに、



どうしようもなく、ほっとした。














「今日はもう、疲れたろ?が今まで寝ていたとこは違うナースが使ってる。今日は俺の部屋使って寝ればいいよい。」



手をひかれ歩く船内。

あのただならぬ空気の中、あっさりとこの人は私を連れだしてくれて。


本当のことをずっと話していなかった私を問い詰めることもせず、ただ淡々と言葉を発する。



一度だけ、入ったことがあるその部屋。

書類であふれかえるそのさまは一番隊隊長の忙しさを表すようで。






目の前の隊長が突然振り返ってこちらを覗き込んできた。

それに思わず驚いて足を一歩下げれば困ったように笑う隊長がいて。


「マルコ、隊長、」


「おかえり、。」


くしゃりと顔をゆがませて、少しだけ困ったように笑いながらそれでも私に言葉をくれる。



その言葉を聞いた瞬間、こらえていた何かは溢れ出す。




「ただいま、っていっても、いいんですか、」


まっすぐに、その青い目を見つめて言葉を放つ。


「ここに、わたしがかえってきて、よかったんですか、」


いてもいなくても同じ私が、この場所に戻っても良かったのか。

無駄な赤髪との接触をさせる結果になった私が。

敵である赤髪を守ってしまう私が、

このあたたかなばしょにもどってもよかったの?



「あの場所に、おいていったのは、」











本当に、事故だったの?














「・・・はあ。」


疲れたため息に体が硬直する。

その瞳を見てられなくて思わず目をそらす。

次に発せられる言葉を想像すれば悪い結果にしかならなくて。



「ずっと、さがしてたよ。」


体に、じわりとぬくもりが広がって。

目の前に、隊長の誇りがあって。

声が、頭の上から聞こえてきて。

なだめるように、背中が撫でられて。



「帰ってきてくれて、うれしいよい」



隊長は、そう言った。




音もなくあふれ出した涙は、ただただ落ちていくだけで。

不自然になる呼吸は必至で嗚咽をこらえて。


「なあ、


やさしい声が耳朶に響く。

ずっと効きたかった声が、ずっと求めていた言葉が。



「まだ、ただいまって言ってくれないのかよい。」





私を呼んで

私を形成していく



ここにいてもいいのだと

ここにいてほしいのだと



ようやっとこの世界でしっかりとした居場所を手に入れた、そう感じて。


目の前の誇りに顔を摺り寄せて、


ただいまと小さくこぼす。




とてもとても小さなそれは、けれどもしっかりと聞こえていたようで。




「おかえり、。」




ちゃんとした返事が隊長から返されるとともに、さらにぎゅう、と強く抱きしめられた。






















※※※
夢主は不死鳥無意識に大好き
でも基本的に不死鳥は大事な家族で妹感覚。







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