ドリーム小説







蒼の世界で生きる 日常






。」


ゆるり、男にしては艶がある低い声が耳朶に響く。

唯一この船の上で自分の言葉をまともに理解してくれるその存在が自分の名前を呼ぶ。


課されていた仕事(といっても雑用だけれども)をこなしていた手を止めて、その声の主へと駆け寄る。


ようやっとまともに聞き取れるようになった言葉。

それでも聞いて、考えて、意味を知って、また考えて、返事して。

その一環の流れは人と話をするには向かなくて。

イゾウ隊長とであれば、日本語で会話したり、こちらの言葉を待ってくれたりするけれど。

結局のところそれ以外にまともに話せる人というのはあまり多くないわけで。

今のところイゾウ隊長のほかでいえば四番隊のサッチ隊長におやじさん。

それからイゾウ隊長の次に私を見つけてくれた一番隊のマルコ隊長だったり。

あとは十六番隊と一緒にいることが多いからその隊員の人たちだったり。

それくらいだ。

というよりもなかなか私を認識してくれないためここにいても見てくれないことが多い。

ちなみに部屋はナースのお姉さんたちと同じところを使わせてもらっている。

私を認識すれば非常にかわいがってくれるお姉さんたちはどの人もみんなぼんきゅぼんだ。(切ない)

彼女たちにお借りしている服もとてもいろんなところが余って残念です。




「船には慣れたか?」


ぽんぽん、と頭を撫でてくれるイゾウ隊長は本日も大変麗しい。

それどころか顔にかかる顔が艶やかな雰囲気を醸し出しているため女の子として非常にいたたまれない。

ぼお、とその顔を見ていれば答えなさいというように頬を引っ張られてあわててうなずく。


くつり、喉で笑われて少々恥ずかしかったがへらり、笑い返す。

そうすれば彼の後ろにいた十六番隊の人たちも(いかつい顔であれど)楽しそうに笑うからうれしくなる。

その中の一人が手を出すようにと促すから従ってみれば掌にあふれんばかりの飴が乗せられて。


「仕事がんばってるから俺たちからご褒美だ!」


いかつい男たちがどことなく照れくさそうにそんなことをいうものだから余計にうれしくて。


いつの間にかなってしまっていた海賊だけれども、今のところ耐え切れないほどの不自由などなく。

ただ、ここに存在することを許してくれる、そんな存在がありがたいのです。









※※※
彼女が来るまでの、そんな日常














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