ドリーム小説







蒼の世界で生きる 発見











広いこの船はその広さに似合うだけの人数が乗っていて。

一人になれる場所というのは存外少ない。


それでもゼロというわけではなくて、人が来ない場所というのももちろん存在して。





そんな場所に、はいた。







厨房で夜の仕込みをしている最中にどこぞのバカは喧嘩を売ってきたようで。

しかしながらこの場所から離れる必要性も感じなかったため作業を続けていた。


そのためマルコがの頬を叩いたのだと聞いたのはずいぶん時間がたってからで、が食堂に姿を見せていないことに気が付けたのも夜も遅くなってからだった。

それもイゾウが困った顔をして食堂に来なければ気が付けなかっただろう。


誰よりも悟りにくい気配は彼女が神経をとがらせればさらに顕著なものになって。

イゾウとともに捜し歩いたがどこにいる様子も見えず。


ほとほと困っていればめったに人の訪れない物置になっている階段下から小さな音が聞こえてきて。


そっと覗きこんだ先、そこには小さな体をさらに丸めて縮こまるかわいい妹の姿。

頬に張られたガーゼが幼い表情を痛々しく見せて。

閉じられた瞳からポトリと落ちたしずくが思わず俺の心を揺らして。

赤い鼻は長い間涙を流した証拠で。


そっと触れた体は冷たく、触れたぬくもりに縋り付くようで。



「ごめんなさい」



小さくつぶやかれたその言葉にどうしようもなく胸が締め付けられる。




マルコの気持ちはわからないでもない。



言葉も知らなかったあの子を、自分が見つけたも同然のこの子を、


事故であったとはいえおいて行ってしまったということ。


それだけでもひどい衝撃を、責任を感じたろうに。




この子を拾ったのがあの赤髪で。



その赤髪によって言葉を学び、戦闘を学び、



まったく知らないような人物になってしまった。






もたらされた衝撃ははんぱないだろう。





かといって、の気持ちも理解できる。


おいて行かれた、それはただただ彼女の心に大きな傷となって残って。


おいて行かれた理由を考えれば役に立たなかったから、そこにたどり着いた。


役に立てるように、迷惑をかけぬように、そう思い行動した結果があれだろう。




どちらも不器用で、それでいて馬鹿だとしかいいようがない。




しかしながら女の子に手を上げるのは、マルコ、ちょっとそれに対して俺は物申したい。




抱き上げた軽いからだ。


俺の気配にも、体が動かされたことにも気づかないそれは、深く深く意識を落としている証拠。



どうか今だけは、何も考えずに眠れるように。





























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