ドリーム小説







蒼の世界で生きる 浮上











ちゃん」




呼ばれてふわり、浮上する意識。


瞬く世界の先、そこは見たことはあれど見慣れない天井。

ゆっくりと声の主を見れば椅子に座りながら背もたれに寄りかかる隊長の姿。



「さっち、隊長」


なんでここにいるんだろうか。

ぼおっとした頭では上手に事を考えられなくて。



「頬はまだいてえか?」


それに、ようやっと一つ思い出す。

未だに鈍く熱を持つほっぺた。

そして怒ったようにゆがんだまなざし。

向けられた視線の意味をわからないほどばかじゃない。


「ほら、食べろ。」


答えない私に困ったように笑って隊長は何かを渡してくる

それは甘いにおいを漂わせるパンケーキで。


「数日したら島に着く。そうしたらちゃんの部屋もちゃんと用意できるからな。」


色んなものを見透かしたみたいに隊長は笑う。


「ああ、それから一足先にエースと二番隊、それから梨湖ちゃんが島に向かう。先に欲しいもんんがあったら言っておけばすぐ手に入るぞ。」


ぼおっとした頭で思うのは彼女が完璧に受け入れられているという事実。


一度も一緒に遠征に混ぜてもらったことなどない。

それどころか、島に降りたことなど数えるほどで。


いいなあ、不意に浮かぶそんな感情。


うらやましいな。

私もみんなに必要にされたいな。


それを口に出すことなどできはしないけれど、思うことは自由だと。


「早く元気になって島で遊ぼうな。」


くしゃり、撫でられた頭。

あったかいそれはとてもとても優しくて。

今思っていた自分の感情がひどくあさましく思えて。


小さくうなずいた。








頭によぎったマルコ隊長のことを知らないふりをして。


























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