ドリーム小説







蒼の世界で生きる 原因










寝ても覚めても浮かぶのは頬を晴らしたの姿。



嫌いなんかじゃない。


むしろ好ましいと、そう思えるいじらしさがあった。


わからなくても必死に動く。

役に立てるようにと常に何かをしていて。

さりげなく整えられた書類や服。

言葉は不自由でも、行動が示していた。






そんな彼女の頬を叩いたのは確かに俺で。










綺麗な、手だったんだ。


何の色にも染まっていない、この海でただ無色透明な色を身にまとっていたんだ。






赤く、なっていく必要なんかなかったのに。







どうして、武器を、手に取ったんだ。








俺の知らない場所で、俺に断わりもなく、俺が望むことのなかった武器を手にして。








それがどうしても許せなくて。








むしゃくしゃとした感情の中、それでも仕事は減ることはなく。

食事なども面倒だったため放置していればさすがにサッチが怒って持ってきた。

その際にさっさとに謝ったほうがいいといわれてさらにいら立ちが増す。



確かにたたいたのは俺だが、それでも、勝手に戦闘に出た彼女にも責はある。




それは彼女もわかってるはずだ。








だけど俺は理解しきれていなかったのだ。


彼女の考えを。



確かに彼女は自分の行動を反省しているように見えた。


けれども彼女は俺とは違う世界で生きていた人物で。

だからこそ、言葉を、しっかりと使って面と向かって話さなくてはいけなかったのだ。






ナースが薬を煎じて俺に手渡す。

苦いそれを流し込み、再び書類を手に取ればあきれたような声。



「隊長、あまり無理をなさらないでくださいね。」


それは俺を案じているのではなく、おやじが俺を心配しているからだろう。

うるさいとばかり手を振れば再び溜息。


同時に叩かれる扉。


振り向けばすでにナースが扉を開いていて。


そこにいたのは最近俺の中にいすわるで。


もう腫れてはいない頬に少しだけ安心をして、それでも忙しい今その顔を見るのは不快でもあって。


思わず口調が、視線が、鋭くないのは仕方がないことだろう。





でも、俺の発した言葉に、体を震わせて。


泣きそうなのに必死に笑って



そして、全力で走っていった彼女の姿に、なぜかひどく胸がざわついた。






























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