ドリーム小説







蒼の世界で生きる 居場所






くすぶる世界の中、一番に飛び込むのは蒼。


私を、引き上げてくれる、色。




ぱちり



夢とうつつをさまよいながら不意にはっきりとした世界。

瞬きそっとあたりを見回せばそこは医務室で。


ぴたり、目があったのは一人のナース。

それは確かクイラ、というナースだったはず。

思わず目をそらそうとすればクイラは突然がばり、こちらにとびかかってきて。


ちゃん!!本当にごめんね!!」

ぎゅうぎゅうと圧迫されて状況把握が追い付かない。

「起きたの!?」

「あ!本当だわ!」

「クイラ、ずるい!!」

意味が分からないよ。

ぎゅうぎゅうと豊満な体に囲まれてふらふらするよ。

彼女たちのさえずりを聞いていればどうやら贈り物のことは本心ではないらしく。

よくわからないけれどかわいかった、とのことらしい。

いや、本当によくわかんないんですけど。



「おい!の目が覚めたら一番に報告しろって言ったろうがよい!!」


べりり、と音がして引っぺがされた視界の先。

特徴的な髪形の隊長がそこにいて。


「マルコ隊長、ちゃんまだ安静ですからね!」

しかたがない、とばかりに彼女たちは医務室を出ていく。

え、ちょっとまってください。

二人きりにしないでください!!

心の叫びもむなしく、気が付けばそこには私とマルコ隊長だけで。


「・・・。」


やさしく呼ばれた名前。

それが信じられなくて思わず隊長の顔を見る。


「悪かったよい。」


困ったように笑って隊長はただ、そういって、手を、私に、伸ばして、




ぎゅう、と抱きしめてくれた。



ナースのお姉さんたちとは違って硬い胸。

それでもぬくもりがじわり体に広がって。


「戦闘を、してほしくはねえんだ。」


ぽつり、呟かれた言葉。

こんなに密着しているのだから体が震えたのはばれているのだろう。

そう思いながらも言葉の先を、まつ。


「初めてであった時から、変わらないままでいてほしかった。

俺がいろんなことを教えて、学ばせて、いろんなところに連れて行って。

もし戦いを教えるとしても俺がこの手で教えたかった。赤髪なんかに任せたくはなかったよい。」


紡がれる言葉は自分が思っていたものとは全く違うもので。



やさしく、みみに、こころに、ひびく



「ああ、でも、やっぱり戦ってほしくはないねい。・・・に赤は似合わねえよい。」


掌が、髪を撫でる感触がする。

何度も何度も、いたわるように。

「赤く染まるを見たくねえんだよい。」



大事に、そう思ってくれているのだと、痛いくらいに、実感した。





「それでも私は、守れる存在でありたい。大事な人を、家族と呼んでくれる人たちを、居場所をくれた人を。」



ゆっくりと隊長との間に手を入れて距離を開けて。

まっすぐにその目を見て、言葉を紡ぐ。



私は、守られるだけの存在では、ありたくはない。



荷物になるのなんて嫌だ。

一緒に、背負えるようになりたいんだ。



「なんだい、は、俺を守ろうとしてくれてんのかい?」



少しだけ驚いたように目をまんまるくさせる隊長はいつもと違ってどこかかわいらしい。


「微力ですが、守りたいんです。」


だからこそ、自然に笑えた。



大事な人たちを、家族と呼んでくれる人たちを、ただ、この手で守りたい。

何もできずに失うなんて、嫌だから。



困ったように、それでも嬉しそうに、マルコ隊長は笑った。





「そんなこと言われたらもうだめだなんていえねえだろうが。」




言葉とともにまた、ぎゅうと、背中に腕を回されて。


居たくはないぎりぎりの力で、抱きしめられた。






あったかい、この場所が、いてもいいのだと、そういってくれた。








蒼が、私を、包むように、居場所をくれたんだ。





だから私はこれからも、この、蒼い世界で生きていく。
















※※※
夢主さん→自分のことに精いっぱい。周りがなかなか見えない子でした。
居場所を探して三千里、みたいな感じになってしまった。
最終的に傍観でもなんでもなくマルコ落ちとか言いながら恋愛にも発展してませんが、とにもかくにもこれにて終幕!
ありがとうございました!!
次はおまけです。





















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