ドリーム小説
蒼の世界で生きる おまけ
梨湖よりもずっと感情表現が苦手で、気配が薄くて。
だからこそ、俺が見つけてやらなければあいつはまた一人で泣くんだろう。
何かをしていないと認めてもらえないなんて誰も言っていないのに。
言葉を身につけてからも今までの癖のように言葉を発することを恐れて。
それでも言葉にしないと気づかないからと必死に紡ぐそれら。
とても不器用で、それでいてあったかい心配りのできる子で。
梨湖が花が咲くみたいに笑うかと思えば、は月が見守るみたいに笑う。
危うくてはかなげで、とても大事な家族
もう二度とおいてなんか行かないって決めたんだ。
俺にとって大事で大事でかけがえのない、妹だから。
「ねえエース!ちゃんから何もらったの??」
「・・・へ?」
次の島への偵察に、俺と二番隊プラス梨湖を連れて船を離れた。
その島への途中突然梨湖に聞かれたその言葉。
それはまったくもってよくわからないもので
「に?別になんももらってねえぞ?」
「・・・あれ?」
俺の言葉に今度は梨湖が首をかしげる。
「だって、隊長たちにも渡したいものがあるって・・・。」
「なんかくれるって言ってたのか?」
聞けば梨湖は大きく首を縦に振る。
「もしかしてやっぱりちゃんと渡せなかったのかなあ・・・」
帰ったら聞いてみよう、そう思いながら目の前に見えてきた島に意識をやった。
梨湖と二人で選んだたくさんの服や装飾品。
この島で自分の部屋を持てるようになるに送ろうと貯金を奮発した。
そうして、本船であるモビーディックが無事に俺たちがいる島について。
そこで聞いたの不調。
慌てて梨湖と一緒に医務室へ向かい扉をすぱんっ、と開く。
「!!」
「やかましいよい。」
同時に頭に飛んでくるもの。
よけようとしたが当たった。
覇気かよ。
こんな時に覇気かよ。
よどみねえなマルコ。
「ちゃんっ!」
俺の後ろから飛び出して梨湖がに飛びついた。
ぎゅうぎゅうとにへばりつくそれをマルコがあきれたように見ている。
「ええ、と・・・」
「大丈夫?!ええと、しんどくない?いたくない!?」
「梨湖離れてやれよい。」
べり、っとマルコが梨湖を引き離す。
ん?なんかマルコ機嫌悪い?
「大丈夫だよ、ありがとう。」
ふにゃって、おお、珍しい、こんなやわらかい笑み見たんひっさしぶりだ。
「、これ土産!」
どっさどっさとかった服やら装飾品などを医務室のベットの上に広げる。
「え、こんなに・・・?」
ちらり、見た顔は困ったようにしていながらそれでもどこか嬉しそうで。
「・・・、あとで一緒にしま降りるぞ。俺もなんか買ってやるよい。」
「え、十分です・・・」
・・・あれえ?本当になんかマルコ機嫌悪いというか、すねてるというか・・・。
まあ、いいか。
「あ、そういえば。なんかくれるって聞いたんだけど?」
聞こうと思っていたことを口に出せば、ぴしり、固まった。
「ああそういえばナースもそんなこと言ってたねい。なんだい?」
困ったように右往左往する瞳。
それを気にしないのは梨湖で。
「確か鞄の中だったよね?はい!鞄!」
どこから持ってきたのか、梨湖の手にある鞄。
それを困ったようにしながらもは受け取って。
「ええと、いつもお世話になってたので・・・半年前だから、ちょっと、あの包装とかぼろぼろ、なんですけど・・・」
どんどん言葉が小さくなっていく。
それと同時にそおっと鞄から姿を現す包。
それは確かに少しよれてはいたけれど贈り物のようで。
「エース隊長と、イゾウ隊長と、サッチ隊長と、それから、マルコ、隊長と・・・」
差し出されたそれ。
うつむいているそれは自身のなさなのだろう。
「ありがとな!。」
笑って受け取ってやればほっとした表情を見せてきて。
「おお!かっこいい!」
開けたそこにあったのは橙色を纏う帽子飾りで。
「、ありがとよい。」
マルコの手にあったのは綺麗な蒼の腰紐で。
俺たちの言葉にそれはそれは嬉しそうには笑った。
今まで見た度の笑顔よりもずっと、きれいでかわいくて、こう、ぎゅううっとしたくなるような笑顔で。
「、かわいいなあ!!」
「に触るなよい。」
思った通り実行しようとすればマルコに遮られたが。
・・・なんかさっきより機嫌悪くなってるぞ。
いったい何があったんだろうか。
※※※※
ありがとうございました!!
戻る