ドリーム小説
蒼の世界で生きる 赤髪
「お、気がついたか?」
これはだれだ。
ぱちり、開いた瞳。
幾度か瞬いていったい何が起こっているのかを考えて。
そうして目の前の赤い髪の男を、三度見くらいした。
しかしわからん。
これはだれだ。
と、目の前の赤い男はだっはっは、となんとも大きな笑い声をあげた。
「お前さん、おもしれえなあ!!」
それはそれは楽しそうにそんなことを言うのだが、ぶっちゃけ意味が分からない。
もう一度言おう。
だれだこいつ。
「お頭。笑ってねえで説明してやれ。」
笑うだけの赤い男に引いた目を向けていれば扉が開かれる気配。
そこにいた黒い髪の男はたばこをくわえながらそういった。
彼らの話を聞くとこうだった。
海のそばで座り込んでた私に声をかけたのは赤い髪の男、名前はシャンクスさんというらしい。
声をかけたけれど丁度意識を失ったらしい私を自分の所為かと思いあわてて自分の船へとつれてきてくれたらしい。
どうやらこの船の、たぶん海賊船のお頭らしい彼。
この船に乗っている船医に私を見せてくれて。
そのままここで休ませてくれているようだ。
「というと、あれか。は白髭の船に乗ってたのか?」
何かあったのか?と聞かれたため色々はぶきながら答える。
ちょっとたどたどしい言葉なのを気づいてくれて、ゆっくりとした言葉で簡単な言葉で合図地やらなんやらを返してくれる。
白髭の人に拾われて一緒に乗せてもらっていたこと。
ちょっとばかりいろいろあってあの島でけがしてしまったこと。
そのまま意識を失っていたらおいていかれたこと。
まあ話終わった瞬間再び大爆笑されたが。
「これからどうするつもりだ?」
副船長らしいベンベックマンさん、そう名乗った彼に問いかけられてどうしようかと考える。
個人的意見を言えばあの船にもう一度乗りたい。
でも再びあの場所に帰れる自信はない。
それならばあきらめてこの場所で暮らしていくという方法もある。
きっと、あきらめてこの場所で生きていくほうが選択的には正しい。
でも、
「。この船に乗るか?」
思考を遮ったのは、シャンクスさんの声。
それはとても魅力的なお誘いのように見えて、それでも、頭をよぎるのは、あの場所で。
「私の家族は、あの船、だから。」
そう口にすれば、ふわり、とてもきれいにシャンクスさんは笑った。
「なら白髭の船まで送ってやるよ。」
先ほどとは違ういたずらっ子みたいな笑顔。
けがの手当てまでしてもらって、送ってもらうとか、もう申し訳なさすぎる。
でもそれが一番あの船に戻れる確率が高そうで。
どうしようかと考えをめぐらせていればふいに目の前に出された鞄。
それは自分のもので。
中から除く、蒼色の飾り紐に、緋色の帽子飾りに、紫色のハンカチに、黄色のスカーフに
ぼろり、思わず涙がこぼれた。
喜んでもらえるかなと思って買ったそれら。
渡すこともできないまま、鞄に入ったそれら。
これを渡すためにもう一回あの場所に帰ってもいいですか?
ぼろぼろこぼれた涙に理由を問うことなくぽんぽんと頭を撫でられて。
「戻りたい、ごめんなさい、おねがいします」
嗚咽とともにこぼした言葉にふわりやさしく笑ってくれた。
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