ドリーム小説
蒼の世界で生きる 見送
イゾウ視点
梨湖の買い物に誰が着いていくか。
それはそれは船上で大規模な争奪戦が行われた。
隊員だけでなくナースや雑用なども名乗りを上げたそれは、船番にあたらない隊員同士のじゃんけんというなんとも平和的な方法で解決した。
にこにこと満面の笑みを浮かべる二番隊隊長とナースの一人。
それからじゃんけんに勝利した幾人かの隊員と共に梨湖は島へと降りたって。
そういえば、もあんまり服とか持ってねえな。
ぼんやりと考えるのは自隊唯一の女のことで。
が乗ったときは丁度エースが隊長になるかもしれない忙しい時。
それどころか向こう見ずなルーキーがこの船に喧嘩を売ってきたり。
色々タイミングの悪さが重なって、最終的に歓迎の宴もなく、のためにどこかの島によることもなく。
こうやって考えるとだいぶん扱いが違う。
「イゾウ隊長。」
今回16番隊は船番ではない。
ということでもちろん隊員たちも思い思いに島へと降り立っていく。
それはも例外ではなく。
「隊長」
突然後ろからのつたない声にあわてて振り向けば困ったように笑うの姿。
「ちょっと、いってきます。夕方には戻り、ます。」
ゆっくりと伝えられるそれに頷いてやればふにゃり、笑みが帰ってきて。
「。好きなもん買いな。」
懐に入れていた札束を渡してやれば困ったように笑って、ふにゃり、お礼を言ってきた。
まあ、確かに梨湖はかわいいとは思うが、の方が好ましいと俺は思うわけで。
「気をつけていきな」
くしゃりと頭をなでれば気持ちよさそうに目をつむって、もう一度なでてやってから彼女を見送った。
誰が思うだろうか。
この後にあんなことが起こるなどと。
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