ドリーム小説







蒼の世界で生きる  心臓

























夢が、繰り返される


世界が、色を失う


お願い、お願い、消えてしまわないで。


まだ、これは、現実じゃない。





まだ、君は、生きている。






手を伸ばすから、お願い、つかんで。


名前を呼ぶから、お願い、こたえて。






手を伸ばして、伸ばして、



そして




っ!」





呼ばれた名前。


思わず体を震わせて、そちらを見ればこちらを覗き込むサッチ隊長の姿。


そこでようやっと今が隊長たちが集まり会議を行っている場だと思い出す。


皆が皆、こちらを怪訝そうに、心配そうに見ていて。



、今具合が悪いなら無理をせず、」


「大丈夫、です。」


マルコの声を遮ってまっすぐに前を見る。



私が知っているこれからを、これから起こりうることを、伝えて、しまわなければ。




手汗がにじむ。


それでも目をそむけはしない。




ここからどうやれば隊長を助けられるだろうか。




それは、これから考えればいいこと。




だって、あの世界にはいなかった、サッチ隊長がここにはいる。





「どうした?大丈夫か?」



問われる言葉。



その柔らかな声色にじわり、にじむように浮かび上がる記憶。




目の前でエース隊長が赤く、紅に、染まる様子が、







ふわり、頭にぬくもり。




サッチ隊長のそのぬくもりが、じわり、エース隊長のものとかぶる。




あの時、たまたまサッチ隊長に用事があってやってきたエース隊長。

倒れると隊長を見て、すぐさま何があったのかと、問うた。


答えたに、隊長を助けてと叫んだ言葉に、ぎゅう、と体はぬくもりに包まれて。




今あの人は、ここにはいない。


きっともうすぐ世界に広がる、あの人のこれから。








そうならないように、そんなちっぽけな私の行動は意味をなさず。








大丈夫だと、そう、思っていたかったのに。














ああ、だめだ、弱くなる。













。」

頬に暖かさが広がった。

そして同時に名を呼ばれて。


ゆるり、撫でる感触に、

じわり、意識が戻る。





「お前は、どうしたい?」



やさしい笑み。

すべてを許すかのような。


すべてをやさしく包み込むような。



その笑みの前でうそをつけはしなくて。






「助けたい」


撫でる掌が心を溶かす


「エース隊長を」


相槌の声が緊張をほぐす。


「死なせたくない。」



サッチ隊長の笑顔が、胸に響いた。



「俺の一番は何があっても親父だと、それは変わらないけれど。」



ぽとりと落ちたしずくはやさしい掌に拭われて。

ぐっと至近距離で目を、あわせられて。




「おまえに救われたこの命だ。一度だけおまえの好きに使えばいい。」




俺を好きに使えばいい、その言葉は確かに私の背中を押した。

























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