ドリーム小説
蒼の世界で生きる 約束
お願い、お願い、死なないで。
家族の前から、姿を消さないで。
もっと早くいけば、助けられたのに
そんなこと、思いたくなんて、ない。
だから、手を伸ばすよ。
だから、名前を呼ぶよ。
一緒に生きていきたいから。
助けに来た、そんな言葉おこがましくて言えはしないけれど
でも、生きてほしいから。
私に笑ってくれた君に、あなたに、
ずっと笑い続けてほしいから
告げた言葉は、隊長の処刑の知らせによって真実だと判断された。
そして始まる戦争への準備。
私は確かにここにいることを許されて。
コーティングを終えた船からは、非戦闘員は降ろされた。
もちろんナースたちもそれは例外ではなく。
戦うことのできぬ隊員たちをかばいながら戦えるほど、戦争は甘くなく。
自身降りることを促された。
自分にならエース隊長を救える、そんな自意識過剰なことは思えない。
それでも、
「はどうしたい。」
サッチ隊長はよどみなく背中を押してくれて。
「足手まといになるって、それは分かってます。でも、どうか一緒に行かせてください。」
その言葉にあきれたように、しょうがないと笑いながらマルコ隊長が、イゾウ隊長がうなずいてくれた。
「無理はするな。」
戦場に向かうぴりぴりとした空気の中、サッチ隊長はそういった。
ぐっとうつむく私にそっと手を添えて、目を合わせてくる。
その瞳には今にも泣きそうな顔をした私がいて。
「俺がいる。」
存在していると、生きていると、そう彼はいう。
ゆるり、頬にあった手が後頭部に回されて、ふわり、鼻腔いっぱいに広がるサッチ隊長の匂い。
落ち着けとそういうように背中を撫でられれば、強張っていた体はゆっくりと緩急していく。
「はもう、俺を救ってくれただろう?エースだって助けられるにきまってる。」
「だから、信じろ。俺たちは絶対に家族を死なせはしねえからよ。」
ぎゅう、と少しだけ強くなった腕の力。
縋り付くように、背中に手をまわして隊長の胸に顔をうずめる。
「隊長、戦場では船長さんのそばにいてください。」
助けられるのならば、みんな助けたい。
それでも優先順位をつけなければ。
私は隊長のところに。
だから船長さんのところにはいれない。
夢の世界にはいなかったあなたにしかできないから。
「サッチ隊長、お願いだから、死なないで。」
私が救った命でも、その命はあの人のために。
私なんかのためにあってはいけないから。
その言葉にふわり、隊長が笑った気配がした。
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