ドリーム小説
蒼の世界で生きる 紅炎
「貴様、どこからっ!?」
処刑台の上から戦場に目を向けていれば後ろからの声。
慌てて振り返ればそこには膝をつきながらもこちらを鋭くにらみつけるセンゴクの姿。
やばい、おいて行かれた。
ようやっと今の状態に気が付くけれど、残念ながら逃げ出す隙がなくて。
先ほどエース隊長の腕に合った海楼石をばれないように服の中へと隠しこんで。
ひときわ大きな声が上がる。
それは解き放たれた炎とそれを止めるために動き回る海軍たちのもので。
後ろから伸ばされた手が、がっちりと私をつかむ。
込められた怒りと握られた掌の強さ。
あ、無理だ。
気配を消してからの不意打ち。
それが唯一の私の勝機。
それはつまり気づかれてしまえば終わりで。
じわじわと広がる痛み。
燃えたぎる意思から逃げる、その術を、今の私は持たない。
否
持たなかったんだ。
今までは。
「っ、こい!!」
響いた声。
はじけるように体は動いて。
どのようにそれをしたのか、それは自分でも理解できなかったけれども、
それでも確かに私はその腕から逃れて、
そうして、その場所から飛び降りて
紅の炎へと
身を
ゆだねた。
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