ドリーム小説
蒼の世界で生きる 隊長
どさりと音を立てて、それでもその体は確かに私を包み込んだ。
私という存在を、決して離さぬという強い意志のもと。
確かに生きているこの人に
「エース、隊長」
ぎゅう、と強く強く包み込まれた腕の中。
人よりも高い体温が、私という存在を浮き彫りにする。
「行くぞ。」
撃ち込まれる銃弾を
叩き込まれる斬撃を
軽々と、易々と抜け出して。
麦わら帽子が私を見て笑った。
その手を引いてエース隊長が走る。
隊長の腕に抱えられたまま、私は戦場を見た。
紅い色広がる金属音
あたりを埋め尽くす倒れ行く影。
脳裏に浮かぶ桃色の影。
勝者が正義だ
それが事実。
これを見て、誰が正義を決められようか。
エース隊長を取り戻したことにより上がった海賊たちの士気。
その勢いのまま撤退の用意を始めた彼らは早い。
もともと追うよりも逃げる立場であることが多いから、それはそれは素早く撤退していく。
かといってまだ息のある仲間を見捨てるわけはなく、手に手を取り合い協力し合って船へと向かう。
味方の屍を乗り越えて攻撃を続ける海軍たち。
それのどこが正義といえようか。
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