ドリーム小説
蒼の世界で生きる 命令
「船長命令だ」
戦場に響いた船長の声。
いやだ、いやだ、聞きたくなどない。
ここまで来たのに、
助けられるって思ったのに。
それでも、私には彼の意思を捻じ曲げる、それだけの力はなくて。
彼の意思を無視して動けるだけの、度胸はなくて。
「サッチ、お前もさっさといけ。」
船長命令に皆が皆、涙を流しながら撤退していく中、たった一人、最後まで船長のそばに残ったのはサッチ隊長で。
「・・・俺たちみんな、おやじが大好きだ。」
にかり、太陽のような笑みを見せて、サッチ隊長は船長さんに背を向けて走り出した。
それを視界に入れながら、私たちも戦場をかける。
「エース隊長、私走れますから、手、放して!」
叫んでもがくほど、隊長の力は強くなる。
私を抱えたまま、船長さんに頭を下げて。
ぼとぼと滴が、顔に降り注ぐ。
あなたが親父でよかったと、叫び声が響く。
「親父、さん、」
小さくこぼした呼び方。
私は、あなたの娘となってもよかったのですか。
ふわり、こんな戦場に似合わないくらい、船長は綺麗に笑った。
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