ドリーム小説







蒼の世界で生きる 親父















ルフィを、ただ、守りたくて。



反射的にしみついた守らなければという感情は、今でこそ発揮されるべきだと理解していて。




熱い塊が、俺の中にねじりこまれる、ことを





想像していたというのに。





熱い塊の代わりに背に感じたのは暖かなぬくもり。


重くはないその体は確かに先ほどまで抱えていたのもので。



小さく舌打ちした赤イヌの二打目が俺たちに向けられて。


ぐっと力を入れた抱き込んだの向こう。







蒼が、空を舞って



白が、地をかけた。








ここまで迎えに来てくれた妹を傷つけたこと、どうして許せるものか。






赤イヌの手首には海楼石の手錠。


いつの間にそれをその手にはめさせたのか。



それができるのは物理的に腕の中のこの子でしかなくて。




後ろから俺を呼ぶルフィにを預けて、一歩足を踏み出す。



赤イヌの向こう、見える親父の姿。







一瞬、のことが頭から消えた。




こちらに背を向けるだけの親父。




敵対するは数え切れぬほどの海兵たち。




助けたい、助けたい、助けたい。



だって今ならば手が届く。


今ならばまだ生きている。




今ならばまだ、手が、届く、




助けたい、助けたい、助け、られる





ゆるり、一歩、足が、親父へと、








「エース」





俺の行動すべてを見越すかのようなタイミング。


俺を見てはいないはずなのに、俺のすべてを理解するかのよう。




ああ、知っている、知っている。




親父は助けられることを望んでなどはいないのだと。




ぴりりとしていた空気が、一瞬だけ、ゆるんだ。







「家族を、頼んだ。」




ああ、親父の頼みを、おれが、断れるはずがないというのに。







一度閉じた瞳の中、笑う親父を思い出して。


ゆるりと開けた瞳の先、赤イヌと対峙するマルコとサッチ。



俺の後ろには、守るべき大事な妹と弟。


そして多くの命たち。







わかってる。


俺が今、何をするべきかなんて。






だからこそ、

抗いたかったんだ。







親父がいなくなった世界で俺は生きていくのだと。










「マルコ、サッチ!」




名を呼んで二人をさがらせて、そうして作り上げる炎の壁。



海楼石をはめたままの赤イヌ。


今であればより多くの数の仲間を生きて帰らせることができるであろう。










「行くぞ!」








ずっと、おやじの背を守り続けたかった。



親父が海賊王になるのを、見届けたかった。



共に笑って、時には泣いて怒って。



もっともっと話がたくさんしたかった。



大好き、だった。


俺に愛することを教えてくれた。

俺に生きる意味をくれた。

俺に家族をくれた。

父という存在を知ることができた。











生かしてくれて、ありがとう。











後ろはもう振り返らない。


今、俺がすることは、大事な家族を、一人でも多く無事に連れて帰ることだから。





































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