ドリーム小説







蒼の世界で生きる  夢現






あかいいろが

しかいをうめて


そして、そして、目の前のその人を


守れぬまま


世界は

いろを

なくし___




「っ!!」


浮上した意識。

定まらぬ意識の中、それでも今見た世界が本物かどうか考えを巡らせて。

薄暗い部屋の中でどうなったのか、そのかけらすらわからない場所で。

身動きのとれないこともさらに負担を重くする。

ただ広がっていく不安。

それを止めてくれたのは外から開かれた扉。

そこから姿を現したのは一人のナースと数人の船員で。


「っ、サッチ隊長はっ!?」


がしゃん、

体を強く動かしたせいで鎖につながれていた手が、足が、悲鳴を上げる。

それでもそんなことかまってなどいられなくて。


「隊長は!?」


答えない彼らに再度、問う。

もしかして、まさか、

そんな不安が膨れ上がって目の前が、にじむ。


「無事よ。」


すゞやかな美しい声。

答えてくれたのは一人のナース。

けれどもそのきれいな顔は戸惑うように揺れて


「いったい何があったんだ。」


威圧的な声。

それはまっすぐに私に向けられていて。


「赤髪のクルーがいったいどうしてこの船に乗っている」


どうしてここにいるのかと、

いったい何をしたのかと、


問われる意味も理由も分かる。

でも、夢で見たからここにきた、なんて、いったいどうしていえようか。


視線をさまよわせて言葉を探せば鋭くなる眼差し。


「ティーチは行方不明だし、エース隊長も船を出た。いったい何を吹き込んだんだ。」



エース隊長が、船を出た。


その言葉にしこうが固まった。


あの場所で、確かに私はサッチ隊長を助けることができた。


でも、まどろむ意識の中、確かに彼に話したのだ。

サッチ隊長がこうなった理由を、自分がここにいるわけを。




フラッシュバックする、あの、あか




「っ、エース隊長を、追いかけないと!!」

叫んだ言葉。

けれども、それは彼らに受け入れられる言葉ではなく。


理由を、自分を信じてくれるであろう隊長たちにここにいるわけと、これから起こりうるであろう世界を、


隊長にあわせて、叫んだ言葉に首を振られることはなく。

ただじゃらりと重い音を立てて、行動を制限するそれらが動くだけで。


「サッチ隊長は意識不明の重体です。」

ナースのお姉さんの声はひどく冷えきっていて。

「隊長が無事に目を覚まさなければ命は無いと思え。」

船員たちの言葉は鋭くて。


ああ、どうしよう、私は、ただ助けたかっただけなのに。

自分を、一度は受け入れてくれたあの人たちが、死んじゃうことのないように、と。


重い音を立てて、扉は再び閉ざされる。

叫ぶ声を遮るように

焦る心をあざ笑うように







あの悪夢はまだ、終わってはいない。





















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