ドリーム小説
蒼の世界で生きる 時間
謝らないといけないのは、自分のほうだから。
お願い、傷つかないでほしい。
全部全部、勝手に事を起こした、悪いのは自分だから。
だから隊長、お願いだから、私のことで傷つかないで。
この世界に来てから何度もこんな目覚め方をしている。
そう思いながら体を起こせば、意識する前にぎゅう、と体を抱きしめられる感覚。
耳元で響く、ずっと効きたかった声。
何度も何度も名前を呼んでくれて。
何度も何度もごめんとありがとうを繰り返されて。
「サッチ隊長」
ぎゅうぎゅうと体を抱きしめられるから言葉を発するのも一苦労。
それでも言わずにはいられない。
「生きててくれて、ありがとう。」
私がやったことが無駄ではなかったと。
まだ未来は変えられるかもしれないと、そう思えた。
私を妹だとそういってくれたあの優しい人が、この世界からいなくなるなんて、そんなの、許せない。
まだ、助けられる。
まだ、大丈夫。
ぎゅう、とサッチ隊長にすがるように抱き着いて願う。
お願い、お願い。
私は生きていてほしいの。
サッチ隊長に、エース隊長に、船長さんに。
脳裏に浮かぶ紅い人。
ごめんなさい、お頭。
助けてくれたこと、とてもとても感謝してる。
ちゃんと船に戻る気もある。
でも、もう少しだけ、あと二人、助けたい人を助けたら、
そうしたらもう、残りの私は全部お頭にあげるから。
だからごめんなさい。
もう少しだけ、時間をください。
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