ドリーム小説
蒼の世界で生きる 覇気
「っ、」
重く重く、あたりに立ちこめる重たい気配。
殺気立つわけではなく、それでも確かにその存在はこの場所にしらしめられていて。
じわり、心臓をぐっと握りしめられるかのようなそれ。
突如として現れたその気配。
はそれにあらがうすべなど、知らない。
「これは・・・」
共にいたサッチ隊長のその声すら遠く遠く響くかのよう。
ゆらり、体は勝手に動きだす。
その気配の方向へと。
あらがえないその人の元へと。
「、」
隊長の声を背中に受けながらもなお、足は止まらぬまま。
一歩踏み出すごとに、心臓は早さを増す。
一歩近づくたびに、体中は恐怖からかふるえる。
一歩、そうしてさらに重たい気配は存在感をまして。
それでも、はあの船でただ、あの人を助けることだけを植え付けられたのだから、染み着いた体は意志とは関係なく動きを早める。
目にいたいくらいの紅色
見るものすべてを魅了する太陽のような笑み
確かに存在するトップとしての存在感。
扉をあけた先、たくさんの船員のなか。
それでも、瞳はたった一人にひきつけられる
「___それから、俺の大事なクルーを、迎えにきた。」
まっすぐと射ぬかれれば、もうその瞳から逃れることなど、できはしない。
「何もいわずに船を飛び出すから心配したんだぞ?」
それはそれは、優しい声色、
それはそれは、あたかも心配する表情を浮かべて
そして、決して笑いも心配の様子も見せない、ただ冷たい瞳が向けられる。
告げられる言葉は中身など無い空っぽなもの。
その視線だけが真実を物語る。
「ごめん、なさい、おかしら。」
紡いだ言葉、それにゆるり、彼の口角はあがる。
それでいいとでも言うかのように。
「」
名前を呼ばれればそれはまるで蜘蛛の巣のように体に張りついてくる。
距離を持つことなど許さぬと。
離れることなど許さぬと。
まるでそう述べるかのように。
ゆるり、伸ばされた手。
ふらりと体はそれに近づいていく。
「」
ふんわり、
今までの冷たい空気が、柔らかく阻まれて。
代わりとばかりに体に温もりが広がった。
いったい何が起こったのか、それを理解しきるその前に、ぐっとその温もりは力をまして。
「赤髪。恐怖での支配は、いただけねえな。」
その声は、サッチ隊長のもので。
それは耳元で聞こえて。
そして体に回るその温もりは、においは、確かに彼が身にまとうもので。
「、ここにいろ。」
ぐ、っとさらに力を込められればもう身動きなどできなくて。
ぎゅうぎゅうと痛くはないぎりぎりの強さでに触れるその腕は、あらがえぬ、そのはずの束縛を____
「___」
それはさっきよりもずっと低い声。
俺が呼んでいるのが聞こえないのかと、まるでそういうかのような。
びくり、おびえるように震えたからだ。
それを優しく解すようになだめるサッチ隊長。
「赤髪。を助けてくれたこと、心から感謝している。だけどな、は俺の命を助けてくれたんだ。俺にとって大事でかけがえのない大切な子だ。」
「がこの船にいて幸せになれるとは思えないがな。」
ぐるり、見回す先にはどうすればいいのかと視線をさまよわせる隊員たち。
「それはおまえの船でも一緒だろい。」
それに答えたのはマルコ隊長で。
くつり、その言葉に愉しそうに赤髪は笑う。
「まあ、違いないな。」
自分のことなのに取り残される会話。
それでもここにいてもいいのだというようにサッチ隊長の腕は優しくに触れていて。
「赤髪、さっさと本題に入れ。」
ぐらぐらと揺れる笑い声が響き、ついで続けられる船長さんの声。
それにちらり、もう一度こちらをみたお頭は愉しそうに口をゆがめたまま船長さんへ向き直った。
「ティーチから、手を引け。」
それは願ってもいないもうしいれで。
※※※
ちょっと捏造はいってます。
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