ドリーム小説
あおいとりがわらう 15
俺にすがる幼なじみの姿は、遠い過去となんらかわりなく。
何かがあって、それから逃げたいときは、いつだって俺にすがりついてきて。
助けて、と口では言えないくせに、全力で体で示す。
俺を、必要だと、すべてで訴える。
そんな幼なじみを放っておけるはずなどなく。
なぜとなりの家から出てきたのか、とか。
なぜ男が追いかけてきたのか、とか。
聞きたいことはたくさんある。
それでも、今重要なのは、一人暮らしをしている俺の家にしばらく泊めてほしいという願いだろう。
「ロー。しばらく、泊めてほしい。」
いつもの生きの良さはどこに行ったのか。
しょんぼりと肩を落としながらこちらを伺う少女。
ほかの人物であれば、簡単にNO、といえるというのに。
俺はこの幼なじみの少女にとてつもなく弱いわけで。
「勝手にしろ。」
ふにゃりと、泣きそうに笑うのはやめた方がいい。
お前には似合わん。
「だが、理由だけは話しとけ。」
ぎゅう、と俺のお気に入りの白熊のぬいぐるみに顔を埋める。
その状態で言葉を発するのをためらうみたいに視線をさまよわせて。
「・・・すきなひとができたのよ」
小さな小さな声
恥ずかしくて仕方がないとでも言うように、彼女はもごもごと話す。
相手の男のこと。
年齢に関しては、まあ、人の好みだからな。
口を出すつもりはねえ。
だが、家政婦みたいなことをしているというそのことには少しばかりため息をつきたくなった。
もっとちゃんと、人を疑え。
そう言いたくはなるけれど、これまでのつきあいからそれが不可能だとわかってもいるわけで。
まあ、とりあえずはこいつの気が済むまでここにいればいい。
お前は何があろうと俺の大事な幼なじみであることに違いはないのだから。
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