ドリーム小説
あおいとりがわらう 4
俺の隣人を紹介しよう。
名前は
とある大学のとある学部に通う女子大生。
背は低め。
長い黒髪は思わず撫でたくなるもので。
身長差からくる上目遣いはぐっとくる。
料理を含めた家事全般が得意で、俺の胃袋をつかんで離さない。
低い身長は思わずこの腕の中に閉じ込めたくなる。
まあ、何を言いたいのかというと、俺は一回り以上も年が離れたこの隣人の女子大学生に恋、というものをしてしまったのだ。
初めの出会いは衝撃的だった。
アルコールの入った鈍い頭で腕の中にあるぬくもりをぐっと抱きしめる。
柔らかなそれに男としての本能がうずく。
そのまま腕を腰へと回しさらに距離を詰める。
・・・詰める?
ん?ちょっとまつ、よい。
昨日はいつもよりも早めにお酒を切り上げて、そのまま帰宅したはずだ。
誰かをお持ち帰りした記憶もなければ、お持ち帰りできるような部屋でもなかったはずだ。
なぜ、腕の中に、ぬくもりがある。
ゆっくりと、瞳を開けて、みたそこには、見知らぬ少女の姿。
「っよいっ!?」
思わず口から出た声。
それに小さく腕の中の存在は身じろいで。
さらに、ぎゅう、と俺に、しがみつく。
やわらけえ・・・。
・・・ちょっとまて、ちょっとまつよい!!
いったい何がどうなってこうなった!?
周りを見渡せば、そこは見たことのある間取りだが、ファンシーなカーテンなどが自分の部屋ではないと主張していて。
よいよいよいよい!?
いや、本当に、マジで何があったんだよい!
意味が分からなくて慌ててその少女を起こし、たいのだが、すやすやと寝息を立てるそれはなかなかに忍びない。
起こしたい、いや、起こすのは大変申し訳ないくらいにこの少女はすやすやと眠っていて。
覗き込めば長いまつげがゆるり、震えて。
「おは、ようございます。」
ふにゃり、それはそれはかわいく笑った、その少女に、
俺の心は年甲斐もなく、きゅん、と音を立てた。
恋に落ちた、そう気づいてからは早かった。
俺のご飯を作ってもらうように計らうのに一日。
光熱費云々を理由にして俺の家に入らせるようになるのに一週間。
掃除などほかの家事も請け負ってくれるように取り計らい、合いかぎを渡すに至るまで二週間。
半年たった今では、すでに俺の部屋でシャワーを浴びることができるくらいには打ち解けた。
まあシャワーに関しては非常に不本意ながら意識されていないということなのだが。
・・・風呂上がりのは非常に艶やかで俺の好みだが。
無害さを装って、常に彼女の同行を探る。
少しでも隙があれば俺を刻み込むように。
大人という立場を利用して、彼女を奪う時を虎視眈々と狙う。
だからこそ、この隙は見逃せはしない。
「」
彼女の作った夕食を食べて。
デザートにと出されたガトーショコラに舌鼓を打ちながら名前を呼ぶ。
数日前からの様子がおかしいのだ。
どことなく、よそよそしく、俺の言葉を半分くらいしか聞いていない。
いずれは俺のすべてを刻み付けるつもりではあれど、今はまだ手加減をしてやっている。
俺に意識を向けないことを許せるほど俺は心が広くはない。
「何が、あった?」
何もない、だなんて、そんな言い訳を聞いてやるほどやさしくはない。
しかしながらためらうその姿を見て楽しむほど趣味が悪くもなく。
「がくせい、にはいろいろ、あるんですっ」
学生と社会人ということに何の不自由も感じたことはないけれど、今初めて彼女の常の空間に俺がいないことにいらりとした。
「」
だからこそ、その距離を埋めるように、彼女を呼ぶ。
何の警戒もなく近づいてきたの腕を引き、抱え込む、
何事かと腕の中であわあわと慌てる彼女を押さえつけるように腕に力を入れれば動きを止める。
覗き込めば耳を、頬を赤くして止まる彼女に愛しさがあふれる。
「今日は疲れたよい。・・・甘えさせてくれねえかい?」
問いながらも答えは聞かない。
を抱き枕にその場所に寝転がる。
腕に、そっとぬくもりがふれる。
「ちょっとだけ、ですよ。」
ああ、甘い。
この甘さをはやくはやく、食したいものだ。
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