ドリーム小説
あおいとりがわらう 8 サッチ視点
かわいい、だけの女じゃなかった。
一見普通の女の子。
笑えば確かにかわいいし、身長も小柄で動作も丁寧。
紡ぐ言葉は心地よく耳に響く。
でも、マルコが惚れる女じゃない。
そう思っていた。
「」
久しぶりにみた、穏やかに笑うマルコを。
始めてみた、あんなにも感情をむき出しにして怒るマルコを。
この少女なら、隠されていたマルコを、全てさらけだせるだろう。そう思わずにはいられない、女だった。
マルコをみやる視線はどうみても恋をしていて。
それでも隠さなければと言う意志が見て取れて。
不器用なマルコに対して同じくらい不器用な少女。
あの好き嫌いばかりするマルコが何一つ文句を言わずに食べる食事。
それは愛情のなせる技だろう。
マルコさん
紡がれる言葉。
そのたびにマルコが幸せそうに笑う
なかなか呼べないのだろう、下の名前を。
もどかしそうに名字を呼んで。
マルコが心からほしいと、望んでいる少女
合い鍵を渡して、外堀から埋めるように、俺たちに会わせて。
あの子は知らないのだろう。
あのマルコの中に眠っているびっくりするくらいに凶暴な意識を。
なまじっか頭がいいだけに、どうやってでも彼女を手にしようとしていることを。
彼女は知らないだろう
ほかの女みたいに地位に、お金に引かれることなく、ありのままの姿を望む彼女の存在がどんなに貴重なことか。
素のままのマルコを受け入れている自分がどんなにすごいことをしているのか。
飼い慣らされることなく野生じみていた鳥が、ようやっと休める止まり木を見つけたようだ。
俺の大事な友であり、親友であり、家族であるマルコ。
お前が望むならば、手を、貸してやろう。
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