ドリーム小説
花嫁修業 不名誉
めいいっぱい夏島を楽しんで、明日には出港。
そんな最終日のこと。
ハートの海賊団コックである私には食料調達という大きな使命があるわけで。
何人かのクルーと一緒にあらかた買い込んだ後、ちょっと変わったものを探したい、という名目で別行動。
が、こんなことになるなんて想像してなかった。
なんかいらないのがいっぱい付けてきているな。
はじめはそれだけで。
町に迷惑をかけるわけにはいかないので、さりげなく、撒きながら人気のない方へと足を進めて。
そうしてたどり着いた雑木林。
現れたのはたくさんの賞金稼ぎと思われる男たち。
別にこれくらいの相手であれば負ける気はない。
伊達に白髭海賊団、兼ハートの海賊団コックをしていない。
向けられる武器に臆することなくにらみかえせば、向こうは緊張を高めて。
高揚する気分
「こいつがトラファルガーローの女だ。」
が、その言葉を発されたと同時に私の高揚は下がった。
「・・・誰?そんなこと言ったの。」
口からでた低い声。
そんな不名誉な称号、いらない。
私はトラファルガーローのものではないし。
私には思う相手がいるわけで。
それを相手が知っているわけないけれど、それでもいらだちが収まるはずはなく。
それに、なにより
「私は、トラファルガーローのクルーであることに少なからず誇りを抱いてるわ。」
親父様にはかなわないけれど。
それでも
「そんなつまらない名前で、私を縛らないで。」
そんな単純じゃないこの関係を
「そんな勝手な言葉で、船長をおとしめないで。」
あなたたちが勝手に名付けないで。
「よく言った」
響いた声、広がる青い円
気がついたときには一瞬でばらばらになる目の前の男たち。
白いつなぎの集団が、独り二人三人、どんどんと相手を倒していく。
なにが起こったのか、わからないほどつきあいは短くはない。
唖然と立ち尽くす残りの男たちに、刃を向ける。
足を進めて、腕を振りおろして。
私の持ちうる力を使って、苦しめてあげる。
トラファルガーローの女
そんな不名誉な称号はいらない。
「私に名称を付けるなら、せめて不死鳥の女にして。」
船長に頭をしばかれたけれど、彼の表情に笑みが浮かんでいたからいいことにしよう。
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