ドリーム小説

























暗い廊下を進む、二つの影。

あたりには控えめながらも笑い声が響き、二つの影は一つになるかのように絡み合う。



かたん、一つの扉をすんなりと開けて、二つの影はその中へと滑り込む。


睦みあうように、二人は距離を積めていく。

そして___


「あら・・・ごめんなさいね、サッチ隊長。」

そのまま一つに重なるかに見えた影は、しかし、女の手によって止められて。

「ん?なに、焦らすのがお好み?」

その制止を冗談ととった男はくつり、のどの奥で笑った。

「ふふ、嫌いじゃないけど・・・先約があったの、今思い出しちゃったのよ。」

するり、簡単に男の腕の中から逃げ出した女は妖艶な笑みを浮かべ、ベッドの上に腰掛けた。

「先約?」

男の声に女は動く。

右手を、するりとのばして、布団にそっと手をかけて。

そして優しく秘密のものを見せるかのようにそこをひらけた。

のぞき込む男の瞳が、わずかに驚きで開かれる。


そこには、すやすやと体を丸めて眠る一人の人物。

ひょろりとした長いからだで器用なまでに丸まって、光から逃げるようにさらにもぞりと体を縮める。


「ほら、先約、ね。」


優しく頬にふれて、それはそれは大切なものを愛でるかのように彼女はささやく。


だからごめんなさい、今日はあなたの相手はできないわ。

言外に込められたそれに気づけないほど子供では、ない。

仕方ない、と首をすくめて、それでも自分の楽しみを邪魔した人物にちらり、鋭い視線を投げかけて。

そうすれば女はその視線から遮るように布団を再度掛け直す。

「サッチ隊長でも、この子に何かするんだったら、許さないわよ。」

ふわり、とてもとてもきれいな笑み。

なのに、込められる色は真剣で。

「その子は、何?」


男の言葉に、女はただ、笑った。

先ほどの艶やかさなど一片も感じさせない、鮮やかな笑みで。







「私たちナースにとって親父様の次に愛している人。この子に何かしたら___ナース全員を敵にまわすと思いなさい。」




















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