ドリーム小説
























医務室の横、埋もれるように隠れるドア。

開かれたままのそこで、こんこん、と音がした。



本の中に吸い込まれていた意識が、ふわあり、浮上して。

一度二度、目を瞬かせてそちらを見る。

そうすれば金色の髪をふわふわと揺らしたあきれ顔の隊長の姿。


「隊長」

名前を呼べば、ため息が返されて。

つめられる距離、至近距離で見つめる瞳。

きれいなそれをじい、っと見つめ返す。


「・・・サッチが、おまえを捜してるよい」


突然告げられたそれに、こてり、首を傾げる。

「サッチ・・・」

その名前は四番隊隊長のもの。

どうして?

そう視線で問えば、くしゃり、頭をなでられた。

「この間、ナースの部屋で寝てたとこを見られてんだよ。」

この間。

ああ、そういえば起きたときナースのお姉さんに少しだけ、怒られた。

タイミングの悪い子ね、って。

「おかげであなたを見せてしまったじゃないの。」

お姉さんの言葉はよくわからなかったけれど、思わずしょんぼりと肩を落とした記憶がある。

でも、またおいでっていってくれたから、いいかなって思っていたけれど。

そうか、少し邪魔してしまったのか。


「後で、謝ってきます。」


邪魔をしてごめんなさいって。


隊長の瞳を見ながらそう言えば、ふにゃり、目元が柔らかくなった。


「べつにいいだろい。ナースはおまえがきてくれるとうれしいって、いつもいってるからな。」

おや、それは、少しばかり、うれしい。

思わず頬がゆるんだ。


「たいちょう」


ぺちり、頭に乗っている手を、つかんで、じいっと隊長を見る。

一瞬だけ、迷った瞳はしかたがなさそうに、伏せられて。

「五分だけだよい。」

ふわり、蒼い色が、またたく。



海の色で、空の色で、あなたの、色。



癒しの、色。



世界で一番大好きな、色。



ぎゅう、と柔らかな感触に浸って、ただ、抱きしめる。



背が高い、利点の一つ。

この状態の隊長をしっかりと抱きしめることができる。



サッチ、隊長が私を捜している理由はどうでもいい。

だって、きっと私は見つけられないから。




























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